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フクオカグロース2020 福岡市2000年代の進運(#02)

FUKUOKA growth 2020
福岡市 2000年代の

The Evolution of Fukuoka City in the 2000’s
*進運…進歩・発達する機運、向上する傾向の意味

「Fukuoka Growth」は、福岡市の成長性を示すさまざまなデータを紹介し、国内、世界における福岡市の存在感を高め、ビジネスや交流を促進することを目的として、情報戦略室が発行する無料のデータブックです。日英併記で、世界の人々に福岡市を紹介するツールとなります。「Fukuoka Growth」で紹介したデータは、国内外からの問い合わせや福岡市を紹介する書籍など各所で活用されています。福岡市は、国内有数の成長都市として内外から注目されるようになり、ここ数年は「日本で一番元気な地方都市」「地方最強の都市」などと福岡市を紹介する書籍の出版や雑誌の特集なども相次いでいます。

「Fukuoka Growth」は、これまで2年おきに、2014年2016年2018年の3回発行しました。
そして、2020年春、最新のデータをもとに、「FUKUOKA growth 2020」を発行します。

2000年代が幕を開けて間もなく20年。「FUKUOKA growth 2020」は、特に福岡市が成長を加速した2000年以降の軌跡を、データ面から考察するシリーズを定期的にウェブ上で発信しながら、これらを含むデータブックとして、2020年春の発行を予定しています。

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シリーズ02:
リーマンショック後、都市の経済はどう変化したか
高い成長(回復)を遂げた福岡市にみる「人」が中心の経済活動
✔リーマンショック後、ほとんどの大都市で市内(都内)総生産が大きく減少したが、その後回復した
✔福岡市は主要大都市の中で特に高い成長率
✔「人」が中心の経済活動の可能性~人と技術の、融合と補完
[Sep 20, 2019] 
地方都市最大の市内総生産額を誇る福岡市
福岡市の市内総生産*1は、最新の市民経済計算によると、約7.5兆円の規模を誇ります(2015年度)。2009年には約6.6兆円まで減少した後、ほぼ右肩上がりに増加を続けています(図1)。
福岡市は、第3次産業が盛んな都市と言われますが、経済活動別に生産額をみても、「卸売業」が約1.4兆円(構成比18.9%)で最も多いほか、「専門・科学技術,業務支援サービス業」(同12.2%)、「不動産業」(同11.7%)などが多くなっています(図2)。2006年度と比較すると、「専門・科学技術,業務支援サービス業」「不動産業」「保健衛生・社会事業」などの分野が大きく伸びるなど、サービス業を中心に多様化しており、最も高い構成比の「卸売業」の相対的な位置付けが、やや低下しています。
図1.福岡市・市内総生産額の推移
図2.福岡市・経済活動別市内総生産額と構成比(2006・2015年度比較)

*1 市内総生産:1年間に市内で行われた各経済活動部門の生産活動によって新たに生み出された付加価値の額
福岡市の市内総生産額は、国内主要大都市*2では5番目の規模で(図3)、人口規模の順位より高くなっています。福岡市は、これまで「支店経済のまち」と言われてきましたが、地域で生み出す価値は、地方都市では最大です。東京都をはじめ上位都市との規模には差がありますが、人口規模の近い川崎市、京都市、神戸市と比較しても1兆円以上多く、唯一の7兆円台です。
図3.主要大都市の市内(都内)総生産額

※各都市の経済活動別の生産額及び構成比はこちら


*2 ここでは人口100万人以上の大都市


2009年以降高い伸び率を見せた福岡市の経済活動

図1に示したとおり、福岡市は、2009年度に市内総生産額が最低値となっていますが、これは他のほとんどの主要大都市で同様の傾向です(仙台市、横浜市のみ2008年度が最低値)。多くの都市は、2009年度以前から生産額が減少傾向にありましたが、2009年度に大きな落ち込みを招いた決定的な要因は、2000年代の経済を振り返る際に避けて通れない出来事、2008年9月に起きたいわゆる「リーマン・ショック」*3の影響と考えられます。この世界的な金融危機と同時不況は、国内経済にも大きな打撃をもたらし、その影響が本格的に現れたのが2009年度だったといえます。
国内各都市で市内(都内)総生産額が落ち込みましたが、各都市とも、民間企業等が改革や革新を進めるなどして総生産額は持ち直し、2015年度には、ほとんどの都市で2009年以前の水準を上回るまでに回復しています。2009年との総生産額の比較では、福岡市は仙台市に次ぐ伸び率となっています(図4左)。仙台市は、東日本大震災の復興事業等で、建設業等で高い伸びを示した特殊な事情があり、福岡市は、仙台市以外の都市と比較して、特に高い伸び率であったといえます。
各都市の伸び率と、経済活動の産業3分野の割合(2015年度)をみると、福岡市は、「第3次産業」の割合が最も高くなっています(図4右)。第2次産業割合の高い川崎市や京都市、神戸市なども順調に回復はしているものの、第3次産業が中心の福岡市の経済活動が、特に高い伸びを見せたことは、これからの日本経済のあり方についても示唆を含んでいます。第3次産業は、人が生み出す価値が基本要素です。世界中で効率化やさまざまな技術革新が進む中で、人のクリエイティビティ(創造性)がより重要な要素になっているとみることができます。
図4.2009-2015年度各都市総生産額伸び率と経済活動別構成比

※各都市の経済活動別の生伸び率(2009-2015年度)はこちら

*3 リーマンショックとは2008年9月、米証券会社のリーマン・ブラザーズが経営破綻し、信用度の低い人を対象とした高金利の住宅担保貸付「サブプライムローン」問題による金融機関の損失拡大など、世界的な金融危機を引き起こした。米国を中心に消費や投資が急減し、その影響は世界中に広がり、世界同時不況となり、日本でもさまざまな影響を受けた。

福岡市は、人のチカラでより高い価値を創出する次代の産業構造へと進化を続けていますが、このことは、福岡市の税収面にも顕著に表れており、市税収入額は、2009年以降一貫して右肩上がりであり、2013年以降は6年連続で過去最高を更新中です(図5)。
2009年からの伸び率でみても、主要大都市の中で最も高くなっています(図6)。
図5.福岡市の市税収入額の推移
図6.主要大都市の2009-2017年度の地方税歳入額増加率

Society 5.0*4時代における人と技術が融合・補完し合う福岡市のポテンシャル
福岡市のように、人のチカラで次代の価値を創造する経済活動が、都市の成長を促す一方で、ICT(情報通信技術)や昨今話題のAI(人工知能)の活用が広がることで、人の仕事がなくなるのではないかという懸念を指摘する人もいます。実際、技術の革新によって、経済活動、人々の仕事のあり方にもさまざまな変化が生じると予想されます。
「平成28年版情報通信白書」(総務省)によれば、「ICTの進化と未来の仕事(PDF)」の中で、AIは「少子高齢化による労働供給の減少が懸念される我が国では、介護や物流等の幅広い産業分野において、人手不足解消の切り札となる」とされ、経済活動の一翼を担う重要な存在として位置付けられています。雇用に与える影響については、「それまで人が行っていた業務をICTが代替する雇用代替効果と、ICTを利活用することによる 付加価値の向上や新規事業の創出によって雇用を増やす雇用創出効果の両面を持っている」とされます。雇用面においては、プラスマイナスの両面、つまり、求められる人材の内容が変わってくるということのようです。
野村総合研究所が、オックスフォード大学と行った2015年の共同研究*5https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf)によると、「人工知能やロボット等による代替可能性が低い職業」であげられている職業は、専門的な知識、技術が必要な職種など、まさに人のクリエイティビティをいかす仕事があげられているほか、タレント、演出家、幼稚園教諭など、人がやることで、より付加価値の高いものを生み出す仕事なども並んでいます。これらの多くは、人が創り出す価値=第3次産業に分類されます。一方で、同じ研究の「人工知能やロボット等による代替可能性が高い職業」は、第2次産業と関わりが深い分野が多くなっています。
2016年に策定された国の「第5期科学技術基本計画」では、「Society 5.0」として、革新技術が社会基盤として生活の端々に根付くことで、人が中心の、利便性や快適性が増す未来社会が描かれています。経済活動の面では、生産性の向上や効率化が図られ、AI等によって自動化される仕事がある一方で、人は、よりクリエイティビティを発揮する仕事に集中することが可能になり、人でしかできない仕事は、今後も残り続け、その重要度が増すと考えられます。
このようにみてくると、人が中心の産業構造である福岡市が、経済成長面で他都市をリードしていることは、偶然ではないように思われます。福岡市には、次代を担う情報通信業などの集積も進んでおり、ICTやAIを支えるエンジニアの活躍を後押しする「Engineer Friendly City Fukuoka(エンジニアフレンドリーシティ福岡)」の取組みの一貫として、8月には「Engineer Cafe – Hacker Space Fukuoka -」もオープンしました。
今後も、革新技術は、人のクリエイティビティを補助・支援していくでしょう。人と技術が融合、補完し合う新しい経済活動の形を模索しながら、福岡市は、他都市をリードするモデルとなる可能性を秘めているといえます。

*4 Society 5.0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(内閣府)。 平成30年度URC総合研究『Society 5.0~福岡市における「人」が中心の未来社会』参照。
*5 株式会社野村総合研究所, News Release『日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~』参照。

情報戦略室 畠山尚久

シリーズ01:
東京一極集中に一石を投じる福岡市の人口集中
政令指定都市人口7位から5位へ急上昇
Rapid Rise from 7th to 5th in Population Among Designated Cities
✔2000年代、人口集中が進んだ福岡市
✔国内成長都市の双璧は「福岡市」と「川崎市」
✔首都圏の勢いと、地方都市で頭一つ抜き出る福岡市
[Aug 7, 2019] 
福岡市と川崎市 2000年代をリードする成長都市の双璧
全国的に人口減少が続く中で、福岡市は、2019年6月現在、158.9万人で、現在も増加が続いています。*
2000年時点で134.1万人、この20年近くで約25万人も増加したことになります。2010年からの人口増加率では、全大都市(政令指定都市+東京23区の全21都市)で最も高い人口増加率を示すなど、国内随一の成長都市と言われる大きな要素となっています。福岡市と近い人口150万人規模の大都市は、ほかに川崎市、京都市、神戸市があります。
福岡市は、2000年当時、人口は政令指定都市7位で、同6位の京都市とは12万人以上、同5位の神戸市とは15万人以上の差がありました。その後、他の都市を上回る勢いで人口の増加が続き、まず京都市を抜き、その後神戸市を抜いて、政令指定都市5位の都市なりました。
2000年代に入り、国内の成長都市の双璧と言えるのが、福岡市ともう1つ、川崎市です。
直近の2018年の人口動態をみると、自然増減(出生数ー死亡数)、社会増減(転入者数―転出者数)ともにプラスなのは、福岡市と川崎市のみです。
多くの政令指定都市が、社会増(転入者数が転出者数より多い)である一方で、自然増減はマイナス(死亡数が出生数より多い)の都市が多く、図の中でも、右上の社会増、自然増いずれもプラスのエリアにあるのはこの2市のみです。

*各都市の自然増減・社会増減数はこちら

このことは、両市が、多くの子育て世代に選ばれ、転入、居住する人が増えていることを意味しており、少子高齢化が進む日本にあって、特筆すべきことといえます。
福岡市、川崎市の国勢調査(2015年)における、「5年前の居住地」についてみると、両市とも市外であった人の比率が15%前後の高い水準で、人口の流動性の高さ、市外から転入する人の多さが、両市の成長を支えていることがわかります。

人口150万人規模の4都市を巡る人の動き
福岡市と川崎市に加え、京都市、神戸市を含む人口150万人規模の4都市の、他都道府県との人の移動状況、どのようなエリアから人が集まっているかをみてみます。
他都道府県の転入者数から転出者数を差し引いた転出入人数の差で、都道府県間の人の流出、流入状況をみると、福岡市は、特に九州各県からの転入超過が顕著であり、山口県など中四国を含むエリアから多くの人が流入しているのがわかります。
これに対し、川崎市は、東京都からの転入超過が大きくなっているほか、関西エリアから、東日本地域にいたる広い範囲で転入超過となっており、首都圏に転居する人に住む都市として選ばれ、発展していることがわかります。京都市神戸市は、近年人口そのものは増加していませんが、近隣の府県など西日本地域を中心に転入超過が見られるのに対し、東京都など首都圏への人口流出傾向が強いほか、京都市は隣接滋賀県や大阪府にも流出していることから、人口が伸び悩む結果となっている状況です。※本文中の青色太文字の各都市名をクリックすると、各都市の拡大図が見られます

福岡市と川崎市の性格の違い 地域の中心都市とベッドタウン都市としての特性
高い人口集積を見せる福岡市と川崎市ですが、同規模4都市市民の従業地との関係をみると、その都市を従業先として流入してくる昼間人口をその都市に居住する常住人口で割った昼夜間人口比率(昼間人口/常住人口)は、福岡市が110.8%で、大阪市(131.7),東京都区部(129.8),名古屋市(112.8)に次いで高い拠点性を示しています。福岡市の昼間人口は、170万人あまりで、居住人口を16万人以上上回ります
これに対し、川崎市は、昼夜間人口比率が88.3%と、全政令指定都市の中でも、低い水準です。多くの人が市外へ通勤し、昼間人口は約130万人と、居住人口を17万人以上下回り、両都市の昼間人口の差は40万人以上に開きます。川崎市は、隣接する東京都区部に通勤する多くの人が、通勤のしやすさ、住みやすさなどを理由に居住するベッドタウンとしての性格が強いといえます。

昼間人口:常住する人口から、その地域から通勤者又は通学者 として流出する人口を差し引き、その地域へ通勤者又は通学者として流入する人口を加えた人口
A地域の昼間人口=(A地域に常住する人口-A地域から通勤者・通学者として流出する人口)+A地域へ通勤者・通学者として流入する人口

三大都市圏以外の地方大都市の状況 ~最大の人口規模を誇る九州とともに
福岡市は、人口規模が近い国内4都市の中では、高い人口増加率(=人口の集積)、高い昼夜間人口比率(=地域の拠点性)が両立する唯一の都市です。
地方都市にあって、福岡市がなぜ、際立って成長を続けているか、国内三大都市圏である首都圏、中京圏、近畿圏を除いた地方の主要な中心都市である札幌市、仙台市、広島市、そして福岡市の、周辺地域、後背地方の人口の集積度を比較してみます。
地域における都市の拠点性を示す一つの目安として、10%通勤・通学圏の人口をみると、福岡市と札幌市が多くなっていますが、対象となる市町村エリア(面積)は、福岡市は札幌市の1/3ほどと、それだけ人口密度が高く、都市の集積度が高い状況です。
後背地方の比較では、九州地方は、人口規模、密度ともに他地方との差は大きくなっており、福岡市は、約1,300万人が住む九州との結び付きの強さから、多くの人が転入し、成長の大きな後押しとなっていることがわかります。
福岡市は九州から首都圏への人口流出を防ぐ役割を担っているとも考えられ、これからも九州とともに、相互に発展する関係を構築し、自律した経済圏を形成していくことが重要といえます。

(参考)札幌市、広島市の他都道府県転出入状況(「5年前居住地」をもとにした都道府県間の人の移動)はこちら
*仙台市は調査対象時期の間に東日本大震災が起きたことで、特異な人の移動があったためここでは割愛した

「東京2020」以降のニッポン 首都圏か地方(福岡)か
2020年が近付くにつれ、川崎市をはじめ、東京都などの人口増加が著しく、首都圏がさらに膨張を続けている状況です。国は、東京一極集中を是正すべく、地方創生を支援し、地方移住を後押しし始めていますが、「東京2020」以降、人やモノ、情報などの動向に変化が生じる可能性もあります。
全国に、政令指定都市は20都市ありますが、このうち10都市は三大都市圏に含まれる都市であり、国内の大都市圏域としては、福岡市を含む圏域は、三大都市圏域に次ぐ規模の集積があるといえます。
首都圏とともに、地方都市随一の成長都市である福岡市は、首都圏とは異なる選択肢として選ばれ続けており、東京一極集中に一石を投じる存在として、今後も存在感を高めていくことが期待されます。

情報戦略室 畠山尚久
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