Global City Status
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2024.10.02

Global City Status

Global City Status~グローバル・シティ・ステータス~
世界の中の、フクオカ・シティ

『「第3極」の都市』と『アジアンシティ・ディスカバリー』、2つの視点でみるグローバル都市・福岡のポジションと進化

福岡市の成長性は、国内では各方面から注目され、『FUKUOKA GROWTH2024』(2024年春発行)でもさまざまなデータをもとに詳しく紹介していますが、「世界」の中の、福岡市のポジションはどうでしょうか。

福岡アジア都市研究所 情報戦略室では、福岡市と類似性を持つ世界の9都市を比較し、福岡市のグローバルなポジションを示す『「第3極」の都市』を発行してきました。
これに加え、新たに東アジア・東南アジア地域における福岡市と人口規模が近い都市に注目し、『アジアンシティ・ディスカバリー』として、新たな視点で、福岡市のポジションを「探求」していきます。
『「第3極」の都市』と『アジアンシティ・ディスカバリー』。2つの視点で、グローバル都市・福岡市が、今後、さらに世界で地位を確立するために必要なことを考えます。

『「第3極」の都市2025』

福岡市のグローバルなポジションを把握するための国際都市比較データブックとして、『「第3極」の都市』を2年おきに発行してきました。今年度も、今後情報発信を行いながら、2025年春にはシリーズ第5弾をまとめる予定です。

『アジアンシティ・ディスカバリー』

数多ある東アジア・東南アジア地域の都市群から、首都やメガシティではない、福岡市に近い規模の“ネクスト都市”を『アジアンシティ・ディスカバリー』として、紹介します。東アジア・東南アジアの“ネクスト都市”のさまざまな情報を収集し、各都市のプロフィールとともに福岡市との近似性などを「探索」します。


評価される都市の“ステータス(地位)”

世界の都市ランキング
世界の都市は、さまざまな目的で、比較、評価されます。各国の都市を調査、評価し、ランキングを公表している機関は複数あります。目的や評価基準はそれぞれですが、福岡市もいくつかの世界の都市ランキングに登場します。
福岡市は、国際化が進み、国内外での存在感も徐々に高まっていますが、世界はどのように評価しているでしょうか。「世界の中の、フクオカ・シティ」がどのような見方をされているか、さまざまな都市ランキングから、客観的な福岡市のポジション(位置)、ステータス(地位)を知ることができます。
以下の、世界の主な都市ランキングの概要と、最新調査結果における上位都市の傾向、福岡市や『「第3極」の都市』『アジアンシティ・ディスカバリー』など、関連都市のランキングの状況をみてみます。

主な都市ランキング(評価機関)
①Global Cities Index 2024(Oxford Economic)
②CITY BRAND BAROMETER 2023(Saffron)
③World’s Best Cities 2024(Resonance Consultancy)
④Innovation Cities Index 2023(2ThinkNow)
⑤Quality of Living City Ranking 2023(Mercer)
⑥Global Liveability Index 2024(Economist・EIU)
⑦Global Power City Index 2023(Mori Memorial Foundation)
⑧Monocle Quality of Life Survey 2024

各種ランキングと評価内容

①Oxford_Economics_Global_Cities_Index(福岡ランキング:有)

イギリス本社の世界的な調査研究機関であるオックスフォード・エコノミクスによる、主な都市ランキングでは最も多い1,000都市を対象にしているのが特徴です。
経済、人的資本、生活の質、環境、ガバナンスの5つのカテゴリにもとづき、27の指標による経済予測や、公表されているデータセットによって補完されています。
上位都市は、ニューヨークやロンドンなど、規模が大きく知名度の高い都市が有利であることがうかがえますが、人口97万人あまり(2022年)のサンノゼが3位であることから、中小規模の都市でも上位に来る可能性はあるようです。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
福岡市は評価対象に含まれており、順位は1,000都市中152位です。
本調査は、国内対象都市数が多く、25都市がランクインしていますが、全体で4位の東京、91位の大阪‐京都に次いで、福岡市は国内で3番目に高い順位です。
このほか、国内都市は、上位都市は一部に限られるものの、最も低い順位でも406位で、1,000都市の中では中位~上位と、いずれも一定の評価を得ています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』の9都市は、全ての都市がランクインしており、シアトルが6位、メルボルンが9位とトップ10に入るなど、欧米の都市は、いずれも上位にランキングされています。一方、アジアの2都市は、福岡が152位、釜山が252位です。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市(人口規模が福岡に近い東アジア・東南アジアの都市エリア)は、40都市中36都市(一部重複あり)がランクインしていますが、福岡と釜山以外では、台中(205位)、高雄(240位)の台湾両市や韓国の大邱(310位)が比較的上位で、中国の張家港市と崑山市両市を含む蘇州が325位、珠海が370位、マレーシアのジョホールバルが376位であるほかは、いずれも400位以下の中位から下位にランクされており、東アジア・東南アジア地域の中規模都市は、相対的に低い評価で、福岡が最高位です。

②CITY BRAND BAROMETER(福岡ランキング:有)


地域のブランドづくりや企業のコンサルティングを行うスペインのSaffron Brand Consultantが2008年より発表してきた都市「ブランド力」の調査で「プロミス」(2,000人への国際調査、認知度、魅力度など)、「エクスペリエンス」(人材育成と労働力、経済力、QOL、ガバナンスなど)、「デリバリー」(インフラ、テクノロジー、グローバル・コネクティビティ、起業家精神、イノベーションなど)の視点で100都市のブランド力を公表しています。
上位都市は、軒並み首都やその国を代表するメガシティが占めており、規模の大きさや知名度の高さ、先進性の高さなど、発信力の高い都市が「ブランド力」の面で有利であることがうかがえます。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
福岡市は評価対象に含まれており、順位は100都市中44位です。
本調査は、国内5都市がランクインしていますが、全体で3位の東京、30位の大阪に次いで、福岡市は国内で3番目に高い順位です。このほか、国内都市は、中位~上位で、一定の評価を得ています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市中シアトルと釜山を除く7都市がランクインしており、バルセロナが10位、バンクーバーが18位、ミュンヘンが19位などとなっています。一方、福岡は44位で、ランク外の2都市を除いた7都市と比較すると低くなっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、40都市中福岡市が唯一44位にランクインしています。他の都市は評価対象の100都市には選ばれず、ブランド力という点では、欧米の都市とはまだ差があるようです。

③World’s Best Cities (Resonance Consultancy) (福岡ランキング:無)


カナダ・バンクーバーのマーケティングコンサルタント・Resonance Consultancyによる都市の魅力のランキングで、生活、仕事、遊びの場として270以上の世界都市(人口100万人以上の主要大都市圏)を評価し、上位100都市を公表しています。
上位都市は、軒並み首都やその国を代表するメガシティが占めており、規模の大きさや知名度の高い都市が有利であることがうかがえます。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
福岡市は、上位100都市には選ばれていません。
本調査は、国内4都市がランクインしていますが、全体で4位の東京が最上位であるほか、45位の大阪、94位の名古屋、そして98位には札幌が地方圏から唯一ランクインしています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市の中では福岡を除く8都市がランクインしています。バルセロナがトップ10内の8位であるほか、ストックホルムが29位、ミュンヘンが30位などとなっています。釜山は67位となっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、40都市中釜山が唯一67位にランクインしています。他の都市は、福岡を含め上位100都市には選ばれず、欧米の都市とはまだ差があるようです。

④Innovation Cities Index(福岡ランキング:有)


オーストラリアの企業経営コンサルタント2ThinkNowによる「イノベーション都市」としての評価を、162の指標、エビデンスに基づく都市ベンチマークデータ、経済ケーススタディ、その他のリソースをもとに、500都市を対象に評価しています。
上位都市は、軒並み首都やその国を代表するメガシティが占めており、規模の大きさや知名度の高い都市が有利であることがうかがえます。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
福岡市は評価対象に含まれており、順位は500都市中124位です。
本調査は、国内対象都市数が多く、12都市がランクインしていますが、全体首位の東京、35位の大阪、64位の京都など、国内上位は三大都市圏の都市が占め、福岡市は国内では6番目、地方都市では最上位となっています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市全てがランクインしており、ストックホルムが13位、ミュンヘンが16位、シアトルが21位など、欧米の都市は、いずれも上位50位内にランキングされています。一方、アジアの2都市は、釜山が108位、福岡が124位です。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、40都市中15都市(一部重複あり)が評価対象の500都市に選ばれていますが、釜山が108位で最上位であるほか、福岡が124位、大邱が211位、高雄が285位などとなっています。そのほかの都市は、300位台や400位台にランクされている都市が多く、東アジア・東南アジア地域の中規模の都市は、相対的に低い評価となっています。

⑤Quality of Living City Ranking(福岡ランキング:無)


主に海外に赴任する人のための生活の質に関するデータを提供するリーディングカンパニーのマーサーによる生活の質に関する調査で、主にビジネスパーソン向けに、「海外赴任者とその家族の日常生活」に関する241都市の情報を提供し、多国籍企業や政府が海外赴任者の派遣先を検討する際の参考になっています。
上位都市は、メガシティではないヨーロッパなどの中規模都市が上位にランキングされており、調査名の通り、住みやすさが基準となっているようです。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
福岡市は、評価対象の241都市には選ばれていません。
本調査は、国内4都市がランクインしていますが、全体241都市中47位の横浜が最上位で、50位の東京、58位の大阪、63位の名古屋といずれも三大都市圏の都市です。上位がヨーロッパの中小規模の都市が多いように、ビジネスパーソンの生活の質の点では、国内都市は、上位にはランキングされていない状況です。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市の中では福岡を除く8都市がランクインしています。ミュンヘンが7位、バンクーバーが8位でトップ10内にランキングされているほか、メルボルンが20位、ストックホルムが26位など比較的上位となっています。一方、釜山は95位となっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、40都市中7都市(一部重複あり)が評価対象の241都市に選ばれていますが、台中と釜山が同スコアの95位で最上位であるほか、高雄が101位、ジョホールバルが107位、中国の張家港市と崑山市両市を含む蘇州が147となっています。そのほかの都市は、福岡を含めランク外となっています。

⑥Global Liveability Index(福岡ランキング:Top20圏外)


イギリス経済誌エコノミストが毎年公表する住みやすさの評価で、安定性、医療、文化・環境、教育、インフラストラクチャーの5つの大分野にわたり、定量的指標や社内アナリストと都市担当者の判断に基づいて評価されますが、一般に公表されるのはTop20都市のみで、詳細調査結果は有償となります。
上位都市は、メガシティではない規模の都市が上位にランキングされており、調査名の通り、住みやすさが基準となっているようです。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
本調査の公表上位20都市に福岡市は含まれません。
国内では大阪が9位、東京が14位で、日本を代表する2都市のみランクインしています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市のうち、上位20都市にはメルボルンが4位、バンクーバーが7位、ヘルシンキが13位と3都市がランクインしています。福岡を含むその他6都市はランク外となっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、福岡をはじめ、40都市で上位20都市にランクインした都市はありません。

⑦Global Power City Index, GPCI(福岡ランキング:有)※2024公表後更新予定


(一財)森記念財団 都市戦略研究所が、世界の主要48都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位付けしたものです。毎年公表されますが、原則同じ48都市を評価するものです。
上位都市は、首都や国を代表するメガシティが上位を占めますが、もともと調査対象が少ないこともあり、中小規模の都市は上位に入りにくくなっています。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
本調査は48都市を評価しており、国内からは東京、大阪、そして福岡の3都市が対象となっていますが、全体で3位の東京、37位の大阪に次いで、福岡は42位です。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市のうち、福岡を含む6都市がランクインしており、メルボルンが9位、ストックホルムが16位、バルセロナが22位などとなっています。
ミュンヘン、シアトル、釜山は評価対象外となっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、40都市中福岡の42位以外は評価対象になっていません。

⑧Monocle Quality of Life Survey(福岡ランキング:Top20圏外)


イギリス発のグローバル情報誌『MONOCLE(モノクル)』が、GDPなどの客観的データだけではなく、その都市の住みやすさ、働きやすさ、遊びやすさなどについて、実際に都市に住む特派員への聞き取りを行い、上位20都市をランキングしたものです。
上位都市は、メガシティではない規模の都市が上位にランキングされており、調査名の通り、生活の質が基準となっているようです。

(上位5都市)

(福岡市及び国内都市のランキング)
本調査は、公表は上位20都市のみで福岡市は選ばれていません。
国内では東京が7位、大阪が12位で、日本を代表する2都市のみランクインしています。

(『「第3極」の都市』のランキング)
『「第3極」の都市』は、9都市のうち、ミュンヘンが首位であるほか、上位20都市の中にメルボルンが8位、ストックホルムが9位、ヘルシンキが11位、バルセロナが16位にランクインしています。このほか、バンクーバー、シアトル釜山、福岡の4都市はランク外となっています。

(「アジアンシティ・ディスカバリー」都市のランキング)
「アジアンシティ・ディスカバリー」の都市は、福岡をはじめ、40都市で上位20都市にランクインした都市はありません。

FUKUOKA NEXT ASIAN NEXT
アジアの次代を担うリーダー都市へ

国際的な存在感と地位向上で“NEXTグローバル都市・福岡”へ
さまざまな都市ランキングで紹介したように、規模が大きく国際的に知名度の高い都市は、多くの調査でランキングされていますが、福岡市をはじめ、中小規模の都市ではランクインされていないケースがみられます。また、欧米の都市が上位になる傾向が強く、アジア地域の都市は、相対的に低いランキングか、評価対象そのものに含まれていないケースも多くなっています。
これらのランキングは、世界中の全ての都市を網羅的に調査しているわけではないため、結果的に都市の規模や知名度が優位な都市が調査対象になりやすいといえますが、その都市の評価に対するニーズが高い~その都市の情報を知りたい人が多い~ことから、多くの調査で評価されているともいえそうです。
また、ランキングの上位に、ニューヨークやロンドン、東京など、首都やメガシティが多いことは、多くの人やさまざまな資源、情報が集中するなど経済規模の大きさが、都市の評価で大きなアドバンテージになっていると考えられます。これに対し、福岡市などの中小規模でランキングされている都市は、生活の質など、何らかの特徴、都市としての個性を評価されて、ランクインしていると考えられます。
福岡市は、複数の都市ランキングにおいて評価の対象となり、国内の三大都市圏以外の地方都市では、最も多くの調査でランキングされています。現在評価ランキングをさらに高め、評価の対象から漏れている調査でも、評価の対象となるよう、福岡市の優位性や成長性を対外的に発信し続けていくこと重要です。
『FUKUOKA GROWTH2024』では、国内の大都市と比較した福岡市の優位性や成長性を示すさまざまなデータを英語でも紹介していますが、日本の三大都市圏に次ぐ福岡市のポテンシャルを広めることで、関心を持つ人が増えて、現在は評価の対象外になっているランキングでも、新たに対象に含まれるケースも出てくると考えられます。知名度が高まり、評価の対象となってランキングの常連となることで、さらに関心を持つ人が増えて、人や情報が集まる好循環を生み出し、福岡市が、グローバル都市として次のステップへ進化することが期待されます。

アジアのリーダー都市FUKUOKAへ
東京は、世界のメガシティのトップランナーとして、日本、そして世界を牽引していますが、福岡市は、世界の『「第3極」の都市』であると同時に、東アジア・東南アジアの同規模の都市のリーダー都市の役割を担い、東京とは異なる“NEXTグローバル都市”として次のステージへ進化することが重要です。
既に福岡市が評価の対象となっているものは、アジアの中では比較的上位にランキングされ、生活の質の面などで、欧米の各都市とも競争力を有しているとみられます。福岡市が、欧米の都市との競争力を高めるために、生活の質向上のさらなるを図りつつ、都市の個性を磨き、知名度や経済的な存在感を高めることで、福岡市の情報に対するニーズが高まり、メガシティではなくても、ヨーロッパの中小規模の都市のように、さまざまなランキングの常連となり、上位の評価を得られる可能性が高まると考えられます。
一方、アジアの人口規模、経済規模がそれほど大きくない都市があまりランキングされていないのは、知名度不足に加え、生活の質や経済的な側面での評価でも、欧米の都市と比較すると遅れをとっているためと考えられます。その中で、アジアのメガシティではない福岡市が、徐々に世界で評価されつつあることは、アジアの中小規模の都市も、欧米の都市のようにさまざまな調査で高く評価される可能性を示しており、福岡市が次代を担うアジアのリーダー都市としての可能性を秘めているといえます。

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