REPORT
刊行物・研究報告
総合研究
2014.03.13
~アジア地域における都市部貧困層への水供給に関する研究~
1.趣旨
2000 年に国連ミレニアムサミットで採択された「ミレニアム開発目標」の中の「2015 年までに安全な飲料水を利用できない人々の割合を半減する」という目標のためには、世界の発展途上国人口の半数を占めるアジア地域における取り組みがきわめて重要である。日本の水道事業における価格設定のノウハウ(従量制、小水量は低価格等)や福岡市の進んだ水道技術を活用し、当研究所、市、大学の共同研究により、安全な飲料水の提供、感染症予防などアジア住民へ貢献できる。 アジア太平洋都市サミットを踏まえて、アジア地域における上下水、ごみなどの都市問題の中でも重要な課題である都市部貧困層への水供給について研究する。
2.実施概要
○目的
福岡市においては進んだ水道技術を有し、これまでも国際貢献を果たしてきたところであるが、現在、アジア地域における貧困層への安全な水供給が急務となっているため、その手法について、福岡市や九州大学などと共同で研究するもの。
<効果>
1.調査・研究成果については、JICAなど広く関係機関、団体へ情報提供する。
2.公開シンポジウム等で報告し、アジア貧困層への水道供給問題への認識を高める。
3.福岡市水道局等で実施している海外への水道事業技術者の派遣等を促進する。
○検討項目
(1)世界的な取り組みのレビュー(既往の論文整理,国内ヒアリング)、問題点の整理。
(2)貧困層が入手可能な価格にするためのシミュレーションによる検討。
(3)費用対効果から見た貧困層への低レベルでの水道サービスの提供の是非についての考察。
(4) マニラにおける水道民営化の事例研究。
○調査手法
アジア貧困層への水道供給については、水道事業民営化の是非といったアプローチからだとイデオロギー的な対立が目立つため、主に水道サービスや料金の設定に主眼を置いて、貧困層に入手可能な水供給手法の研究を行う。
(1)発展途上国において水道整備を行うにあたり、適切な配水管整備(管路更新)、適切な費用負担(料金設定)、適 切な投資額(経年推移を含む)についての研究。
(2)日本の発展途上時における一人あたりのGNPが現在のマニラと同程度の時期であるとおもわれる昭和25年~34年において、当時の福岡市の水道整備状況と比較することで水道事業の料金設定や投資額の検証をする。
○研究会の設立,実施
研究にあたっては、「アジア地域における都市部貧困層への水供給に関する研究会」を所内で立ち上げ、研究会メンバーとして、アジアの水問題に造詣が深い九大、URC、福岡市などから委員を選任し、研究を進める。
○期間,成果物
1年、報告書
3.実施フロー
5月~7月 既往の論文整理、国内ヒアリング、研究会設立準備
7月~9月 マニラ資料収集
9月~10月 福岡市事例収集とまとめ、研究会第1回
11月~12月 研究の比較分析
1月~2月 研究会第2回、中間報告会、研究のまとめ
2月~3月 報告書作成
担当
小牧 重己 研究主査(メイン担当)
篠崎 慎一 研究主査(サブ担当)