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Global City Status 世界の都市と福岡の現在

2020情報戦略室DATA Web
Global City Status 世界の中の,フクオカ・シティ
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福岡アジア都市研究所 情報戦略室では、福岡市のグローバルなポジションを把握するための国際都市比較データブックとして、『「第3極」の都市』を発行してきました。
『「第3極」の都市』は、福岡と類似性を有する都市~首都・経済首都ではなくメガシティでもない、高い生活の質が評価される都市~として、まず、バルセロナ(スペイン)、ミュンヘン(ドイツ)、メルボルン(オーストラリア)、バンクーバー(カナダ)、シアトル(米国)の5都市のベンチマークからスタートしました。

世界的な新型コロナウィルス感染の広がりで、人や経済の動きが大きく制約され、この「第3極」の都市群にも、福岡同様、新型コロナウィルスの影響は及んでいます。
2019年までとは異なる「第3極」の都市の現在の状況を紹介することで、よりリアルな福岡のポジション、各都市との違いなどの客観的な判断材料になるという視点で、「第3極」の都市を中心とした世界の各都市の2020年の最新データ、状況を紹介していきます。

公益財団法人福岡アジア都市研究所
情報戦略室 室長 畠山 尚久
01 |

シリーズ01:人流と物流の現在
[Oct 28, 2020] 
今回は、「人流」(人の移動)と「物流」について、影響を受ける前の2019年との比較からみた現状をみてみます。

世界中で、人の動きが止まった

「インバウンド対応」「過去最高の訪日外国人」・・こうした言葉が踊った2019年から、2020年は、状況が一変しました。世界中で新型コロナウィルスの感染が拡大し、各国・地域は移動を制限し、特に、国境を越える移動は困難となり、海外居住の日本人の帰国さえ難しい状況となりました。
福岡市を含む「第3極」の都市も例外ではありません。月別の空港を利用した人の出入りの数は大きく減少しました。感染者数や各国・地域の政策判断などにより、人の往来の回復状況は異なりますが、全ての都市において、程度の差こそあれ、依然として厳しい状況は続いています。

「人」の動き:旅客数等前年同月比較
各都市空港旅客数前年同月比割合

福岡空港の国内旅客数はやや回復

福岡空港旅客数は、感染の確認、拡大により一部海外渡航自粛要請が発出し始めた2月以降急速に減少し、4月、5月に底を迎えた際は、前年比1割未満というかつてない状況でした。その後、国内移動が徐々に回復したものの、前年比では3割未満の水準にとどまるほか、依然として海外とはほとんど往来のない状況が続いています。
「第3極」の各都市の空港は、いずれも旅客数を大きく減らしており、前年比1~3%台など福岡市よりさらに深刻な状況であったことがわかります。依然として深刻な状況が続くメルボルンを除き、各都市とも緩やかながら回復傾向にあり、福岡市は比較的その度合は早くなっています。もともと国内線のウエイトが大きかったことも要因の1つと考えられます。
一方で、シアトルも、国内線中心の空港のため、4月に底を打って以降は、旅客数は回復基調が続き、前年比3割程度まで回復しています。

福岡福岡空港旅客数前年同月比較
バルセロナバルセロナ・エル・プラット空港旅客数前年同月比較
ミュンヘンミュンヘン国際空港旅客数前年同月比較 メルボルンメルボルン空港旅客数前年同月比較
バンクーバーバンクーバー国際空港旅客数前年同月比較 シアトルシアトル・タコマ空港旅客数前年同月比較

モノの動きは止まらない

人の動き、特に国・地域を越えた移動の数が大きく減少したのに対し、モノの移動=物流は人の移動ほどは影響を受けていません。一部停滞はあるものの、特に海運は、直接的な影響は、データ上では少なく、博多港でも輸出入コンテナ取扱量(TEU)は、前年比9割前後の水準で推移しています。その他「第3極」の都市も、大きな影響はみられず、前年比プラスの月さえあります。
一方、航空貨物取扱量は、空港によっては大きく減少したところもみられます。

モノの動き:港湾・空港貨物取扱量前年同月比較
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)

各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)
各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)

福岡市・博多港は前年比9割程度で安定 福岡空港はフライト減の影響

港湾コンテナ取扱量は、博多港は、前年比でやや減少したものの、8~9割程度の水準を維持しています。一方、海外「第3極」都市の港湾は、人の移動では福岡市より深刻な都市でも、コンテナ取扱量は大きな減少は見られず、前年比プラス水準で推移している月もあり、人の移動とモノの移動は異なる様相を呈していることがわかります。
航空貨物取扱量は、統計を公表している都市(空港)では、福岡空港やミュンヘン国際空港などは、人の移動ほどではないものの大きな減少を見せており、貨客混合の旅客機のフライト減の影響により貨物の取扱量が減ったことが要因の1つとみられます。シアトル・タコマ国際空港は、前年水準を維持していますが、国内線が多いことや人の移動制限の影響を受けない貨物専用機の運航が多いことなどが要因と考えられます。

福岡(輸出)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸出) 福岡(輸入)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸出)
バルセロナ(輸出)バルセロナ港貨物量輸出 バルセロナ(輸入)バルセロナ港貨物量輸入
メルボルン(輸出)メルボルン港貨物量輸出 メルボルン(輸入)メルボルン港貨物量輸入
バンクーバー(輸出)バンクーバー港貨物量輸出 バンクーバー(輸入)バンクーバー港貨物量輸入
シアトル(輸出)シアトル・タコマ港貨物量輸出 シアトル(輸入)シアトル・タコマ港貨物量輸入

福岡市をはじめ、これまでベンチマークとしてきた「第3極」の都市も、新型コロナウィルスの感染が拡大し、人の活動は大きな影響を受けています。感染状況やその対応は都市により異なりますが、今後感染が収束した後も、さまざまな面での変化を強いられ、これまで比較してきた指標にも影響が及んでくると考えられます。
一方で、人の移動は減少してもモノは動き続けており、経済活動は人の移動の変化に関わらず、依然として継続していることがわかります。新しい人との関わり方やモノの動き、国際的なネットワークのあり方などを模索しながら、この期間に経験した変化への対応を、収束後の社会での進化に結び付けるよう試行錯誤しながら、今を乗り越えていくことが求められます。

情報戦略室 畠山尚久
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