REPORT
刊行物・研究報告
総合研究
2014.03.13
福岡市の将来の都市構造に関する研究Ⅲ
趣旨目的
福岡市においては、情報ネットワーク社会の到来、環境問題の深刻化、経済と財政の改革、生活スタイルの多様化、コミュニティの崩壊、都心部の空洞化、建築・インフラの老朽化、交通渋滞の慢性化など、多様な都市政策上の課題が生じている。これから着実に進む少子高齢化や将来の人口減少を見据えると、バラバラな対症療法ではなく、都市経営の視点に基づく戦略的なまちづくりが必要である。 具体的には、将来の適正な都市規模を見据えながら、様々な関係者が共有する都市の将来像を描き、それに基づいて民間開発を適切に誘導していくための新たな仕組みが必要である。このような視点から、本研究では 目指すべき都市の将来像とその実現に向けた仕組みづくりを福岡市に提案することを目的とする。
研究期間
平成16年9月~19年1月(3ケ年度)
内容
1)現況分析
人口、従業者、土地利用、建築着工などのデータを分析し、福岡市の都市構造の現況を整理する。
2)将来像の提案
平成 42 年( 2030 年)を目標年次として将来人口を設定し、現行政策を継続した場合と、コンパクトシティを目指す都市政策を導入した場合の、土地利用をシミュレーションする。シミュレーション結果である2枚の将来土地利用図を、居住性とサステナビリティの2つの視点から評価した上で、総合的な考察に基づいて、目指すべき将来像と実現策の提案を作成する。
3)土地利用シミュレーションシステム
2) の作業ツールとして、土地利用計画に市場合理性を担保するための市場モデルと、居住性とサステナビリティを多面的に検証する評価モデルの2つを統合したシステムを開発する。市場モデルは、人口フレームと政策シナリオを変数として、市場が具現化する土地利用パターンを出力するものであり人口配分モデル、宅地需要推計モデル、宅地需要配分モデルの3つがシームレスにつながったものである。
4)市基本計画作成プロセスの提案
本研究の成果の活用場面として、次期福岡市基本計画の作成プロセスを想定し、その具体的な作業フローや体制などの提案を、パブリック・インボルブメント( PI )の試行などを通じて作成する。
5)今後の課題
本研究を通じて抽出された課題として、まちづくりの制度や仕組みのあり方、データの整備やマネジメントの手法などを整理する。
手法
コンサルタント、大学、 GIS 専門家との共同研究
共同研究者
コンサルタント(都市プラン九州)、九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門(出口教授、有馬助教授、趙助教授ほか)、 GIS 専門家(パスコ)
担当
後藤 太一 主任研究員(メイン担当)
野口 誠 主任研究員(サブ担当)
松熊 功 研究主査(サブ担当)
寺本 義宏 研究主査(サブ担当)
川井 久史 研究主査(サブ担当)