Fukuoka Growth 2014
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コラム

2014.11.13

Fukuoka Growth 2014

2014年3月にウェブ上で発信した『Fukuoka Growth 2014』シリーズは、以下よりお読みいただけます。
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Fukuoka Growth 01 日本で一番人が集まる都市へ

ピックアップデータ
◆1,500,899人
「福岡市の人口が150万人を超えた」と、ニュース等でも報じられました。
100万人突破が1975年。それから38年という短期間での150万人突破。福岡市は、今「日本で最も人口が増えている市」なのです。
京都市を抜いて、政令指定都市中6番目の人口となった福岡市より人口が多い市は、横浜市、大阪市、名古屋市、神戸市のいわゆる三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏域)の都市、そして札幌市だけです。
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◆全国的にみても際立つ短期間での「急増」
福岡市は、わずか2年7ヶ月の間に4万人近い人口の増加で、政令指定都市としては、2位の札幌市にダブルスコア近い差で1位、増加率も1位と、全国的にみても、多くの人が集まる都市として特筆すべき傾向を示しています。
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Fukuoka Growth 02 高まる地域経済の拠点性
福岡市は、今後20年は人口増加が続く見通しであり、全国的にみても人口の集中が顕著です。九州全体では人口が減少していく中で、福岡市の集中度がさらに増していくことを意味しています。
都市が世界経済を牽引する中、先進国では例外的に首都圏への一極集中が依然として続いている日本では、経済のしなやかな強さ(レジリアンス)を高めていくために、それぞれの都市圏が創意工夫により自律的な経済成長をし、世界の中で存在感を高めていく必要があります。そして、その拠点となる都市においては、高いハブ機能、司令塔機能を持って、周辺を牽引する役割を担っていくことが求められます。
九州は、他の地方経済圏と比較すると、経済の規模や産業の集積、多様性は優位性を持っています。これらの経済活動や基盤があればこそ、福岡市のサービス業を中心とした経済活動が盛んになっているとみることもできます。
今後も、九州経済圏の発展とともに、その拠点都市として、世界の中での存在感を高め、人や投資を集める求心力を発揮していくことが期待されます。
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Fukuoka Growth 03 サービス業における高付加価値構造への進化
福岡市は、全国的にみても顕著な人口の増加を背景に、事業所数も増加傾向にあります。
増え続ける市民らを対象とした商業や飲食サービスなどが盛んな都市となっていますが、
特に、近年は商業や飲食以外の、より付加価値の高いサービス業が増加しています。
福岡市に限らず、全国的に中小企業が地域の経済を支えていますが、福岡市は、大企業の支社や支店も多く、雇用面で大きく貢献しているほか、九州における司令塔機能や、アジアへの玄関口としての拠点機能など、福岡市に事業所を置く優位性が多くの企業等に認識されているものと考えられます。
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図表1.福岡市の産業大分類別民営事業所数の推移 図表2.福岡市の事業所で特に増加している産業(大分類)の増加指数
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図表3.福岡市の従業者規模別事業所数と従業員数の割合(2009年)
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Fukuoka Growth 04 多様・多彩な人流のクロスロード
福岡市には多くの「働く人」が集まっています。
福岡市には多くの「働く場」があり、多様な職業の人が暮らしています。市民はもとより、福岡都市圏など周辺地域に住む多くの人が、福岡市で働き、多くの価値を生み出しています。福岡市は、毎年 10 万人を超える人が転入・転出し、全国的にみても、住民の入れ替わりが多いのが特徴です。多くの人を受け入れる土壌があることは、多様・多彩な人材を集めるポテンシャルを有していると言えます。
一方では、毎年多くの人が市外へ流出しており、特に大学を卒業した人が他県へ出て行くなど、付加価値を生み出し得る人材が流出している状況もみられます。また、福岡市は、働く女性が多いものの、特に既婚女性では非正規職の地位で働く人が多くなり、結婚後の女性の能力を十分にいかしきれていない状況も垣間みえます。福岡市には、専門的な知識や技術を有する「クリエイティブクラス」とも呼べる職業の人も多く住んでいますが、多彩な人材の能力をさらにいかすことができれば、より大きな付加価値を生み出す余力を備えています。多様な人材を受け入れる環境やその知識や技術を活用する仕組みが十分に整っていない現状が推測されますが、多くの人が福岡市に集まり、出会い、交流することで生まれる新たな価値や機会の中で、その能力をいかし、さらに大きな価値を生み出す余地は大きいといえます。新しい住民が多いことは、後から転入してくる人にとっても溶け込みやすいオープンな環境の証左とも言えます。毎年多くの人が出会い交流する「人流のクロスロード」として、異なる価値が交わることで生まれる発見や可能性を、新たな価値創造に結びつけ、新陳代謝が活発な福岡市ならではの発展のチカラとしていくことが期待されます。
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図表1.福岡市の職業分類・男女別就業者数(2010年)
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図表2.主要大都市における昼間人口の増減数(2010年)
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Fukuoka Growth 05 人とモノのゲートウェイ
福岡市には航路、空路、鉄道全てのターミナルが揃い、いずれも都心から近い位置にあります。
また、都市高速道路が都心から広域道路ネットワークにダイレクトにアクセスしています。コンパクトなエリアに集中するターミナルは、目的地への移動や待ち時間のストレスを軽減し
ビジネスや観光など、効率的で充実した滞在時間を可能とします。
アジアやヨーロッパの巨大なハブ空港、港湾と直通路線があり
福岡市は、日本と世界の価値を結びつける窓口として、重要な役割を担っています。博多港が1200年以上の「国際港」としての歴史を持つことは
福岡市が国際的な人流、物流の拠点として最適な場所であることの証左です。
アジアが急速に成長する今、日本、ヨーロッパとアジアをつなぐ
戦略的な拠点として、福岡市は国内で最適な立地です。世界へのゲートウェイとして、異なる文化や価値をダイレクトに結びつけ
九州、日本の新しい可能性を切り開いていきます。
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図表1.国際線出入国者数上位空港・港湾(2012年)
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図表2.博多港におけるコンテナ取扱個数推移(2000~2012年)
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Fukuoka Growth 06 生活の質で成長する都市
福岡市が2012年に策定した第9次福岡市基本計画で、高い生活の質が都市の成長を導くという都市戦略を掲げ、多様で多彩な人を引き付ける魅力を高めていくことを目指しています。アメリカの社会学者・リチャード・フロリダは、世界が、製造業から知識集約型のクリエイティブ経済にシフトし、成長の原動力は、才能と生産性に満ちた人々の蓄積と集中であると指摘しました。
そして、「クリエイティブ・クラス」と呼ばれる知識集約型産業で働く人々が、特定の地域に寄り集まって住むことで、新しいアイデアが生まれ、その地域の生産性が高まり、さらに多くのクリエイティブ・クラスを引き付けることとなります。フロリダは、今日の世界においては、才能、イノベーション、クリエイティビティのような現代の主要な生産要素は均一には分布しておらず、いくつかの「メガ地域」がグローバル経済を担っていると指摘しています。また、 「創造性は居心地の良い場所を求める」ため、暮らしやすい都市に優れた人材が集中し、結果として「メガ地域」は世界的に均衡ではなく「スパイキー」(尖ったの意)に発展しているとしました。そして、スパイキーなメガ地域には「北部九州メガ地域」として福岡市も含まれています。福岡市は、1000km圏にある東京や上海、ソウルなど世界トップクラスのメガ地域、巨大都市群に囲まれていますが、福岡市自体は人口150万人規模の、世界的にみると決して巨大ではない、しかし1300万人が住む九州地域の中枢都市としての拠点性と集積度を持っています。都市機能がコンパクトに集中した暮らしやすさも有しており、巨大都市群とは異なる生活の質を感じることができる都市です。さらに質を高め、住む人にとっての満足度と、世界に向けた魅力度を高め、都市の成長によって「クリエイティブ・クラス」をはじめさらに多くの人が引き付けられ、起業や新たな事業を始める機会が増える好循環を生み出すことにつながります。(情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.福岡市民の住みやすさ評価 図表2.英モノクル誌・世界で最も住みやすい都市(2013年)
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Fukuoka Growth 07 スタートアップ都市が目指すもの
日本は、諸外国と比較して起業家は少ないのが現状です
アメリカに代表される旺盛な起業家精神によるベンチャー企業の勃興がある一方で
生活のために事業を起こさざるをえない国々もあります
日本は、どちらかというと安定志向が強く、リスクを取って起業するよりは
企業等に就職して安定した就業を志向する傾向が強いともいわれますが
これまでは、それらを受け入れる就職先に比較的恵まれていたためと考えられます
しかし、社齢の長い大企業ほど雇用者は減少しつつあり、新規雇用を行うのは比較的若い企業に多い
現実を鑑みると、新たな企業の創業=起業は、雇用の確保の面でも重要な役割を担っているといえます日本も、企業や産業の新陳代謝を促進し、新たな雇用の場を創出することに力を入れるときです
起業家がグローバルにビジネス活動の場を探す中で
次代の付加価値を生み出すコアを、国内にもつくらなければなりません
福岡市は、日本でその最も適した環境づくりで、存在感を高めようとしています
それは、日本経済にも、良い影響をもたらすことでしょう「スタートアップ」とは、「新しい行動や事業を起こすこと」です
先ごろ閣議決定された国の成長戦略「日本再興戦略」においても、「スタートアップ」は重要な政策と位置付けられていますが、福岡市は、昨年策定した「第9次福岡市基本計画」の中で、既に「新たな挑戦を応援するスタートアップ都市づくり」を重要な政策課題として盛り込んでいます
さらに、福岡市における創業支援の環境を効果的に整備するために、国の国家戦略特区アイデア提案募集に対し、「グローバル・スタートアップ国家戦略特区」の申請(後述)を行っています。この特区が認められれば、内外の起業家や投資家の目が、一気に福岡市に集中することが期待されます福岡市は、今後20年あまりは人口増加が見込まれる国内でも希な都市で、良好な生活環境とともに、内外のスタートアップを志す人が活動を行う場としての魅力を有しており、既に開業率は国内一の高さです
内外のアントレプレナー*が、福岡の魅力に引き寄せられて、新たなビジネスを生み出す生態系がさらに大きくなることで、産業の新陳代謝が促進され、都市の自律的で持続的な成長に大きく寄与することになります
これがスタートアップ都市の目指すべき方向性です(2013年.9月20日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.開業率都市比較 図表2.福岡市の有業者に占める起業者割合(2012年)
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Fukuoka Growth 08 食の強みをいかす福岡らしい価値の創造
世界における「食市場」は、主に途上国の人口増加に伴い、今後10年で倍増することが見込まれ、国の成長戦略「日本再興戦略」でも、農水産物をはじめとした日本の多様な「食」を、世界に向けて発信を強化していくことが盛り込まれました。グローバルな「食」関連企業が世界で存在感を高める一方で、日本の消費者は、安全な「食」へ特に高い関心を示し、国産志向が強く、地産地消という言葉が広がるなど、素材や産地を付加価値として重視する傾向があります。
こうした背景から、グローバルな「食」の標準化とは異なる価値観で、国内では今も各地域の食文化に基づく「食」にかかわる産業とローカルな物流体系が成り立っており、その中でも、福岡市は、九州の多彩な食材に支えられて、それを生かす多くの人たちの手によって、魅力的で多様な食文化を育んできました。「食」にかかわる産業は、農林水産業はもちろん、加工製造、さまざまなサービス分野などが含まれ、ここ福岡市でも古くから多くの関連産業・企業が栄えてきました。
さらに、生産地におけるITを駆使した生産管理や物流の革新、医療やバイオテクノロジーとの結びつきなど、関連する産業分野の裾野は大きく広がりつつあります。この福岡市の恵まれた「食」を、より多くの価値を生み出す次代の産業の柱として育てていかねばなりません。それは「食」のグローバル企業を生み出すことに限らず、付加価値の高い「食」を創造するチャレンジの支援や、その魅力で国内外の多くの人を呼び込むなど、 「食」が本来持つ地域性をいかしながら、福岡ならではの価値を高め、発信していくことまで含みます。福岡市は、産地と大消費地の両面併せ持つ強みがあります。「食」にかかわる分野には、 アントレプレナーシップを持つ人が多く、 起業・開業が盛んです。
「食」の市民満足度が高いのも、このような背景、強みによるものと考えられますが、市民だけでなく、観光客の食事やアフターコンベンションなど、福岡市を訪れる人にも、その満足度を共有してもらう機会を増やしていくことが必要です。(2013年10月8日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.福岡市民の都市環境満足度上位項目 図表2.エンゲル係数【主要大都市比較】
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図表3.飲食店「新設」事業所比率【主要大都市比較】
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Fukuoka Growth 09 クリエイティブによる産業の進化
福岡市提供の観光用スマートフォンアプリ「福岡歴史なび」は、レイトン教授とその仲間たちが案内役です。
『レイトン教授』シリーズは、福岡市にある㈱レベルファイブが制作・発売したゲームで、ヨーロッパなど世界的に大ヒットしました。福岡市は、ゲームをはじめとするデジタルコンテンツやファッション、デザイン、映画、音楽などのクリエイティブ関連産業が集積しています。世界では、経済の成長に、創造力(creative potential)が不可欠と認識する人が8割です。そして、世界で最もクリエイティブな国とみられているのは、この日本です(いずれも「state of create study April 2012」Adobe) 。言い換えれば、長らく低迷した日本経済にあっても、世界は日本の潜在能力を、依然として高く評価しているのです。
日本、そして福岡市は、その期待に応えていかなければなりません。クリエイティブな価値は、さまざまな関わりによって、より大きなポテンシャルを発揮します。画一化されたものづくりやサービスにも、創造性を加味することで、差別化や、価格競争とは一線を画する高付加価値化を実現します。伝統産業に現代的な価値を付加することで、新たな需要を開拓するなど、既存産業との融合による産業の活性化にも寄与するものです。日本のクリエイティブな評価が高いのも、創造性と伝統性、文化、そして技術力を総合的に評価してのものでしょう。
クリエイティブな価値は、人の感性や創造性による部分が大きいことから、取り組み次第では応用性や汎用性が高く、経済的な波及効果を発揮するほか、新しい「文化」として国や地域自体の魅力にもなり得るものです。
国が、「クールジャパン」として、日本のさまざまなコンテンツを世界に広げようとしていますが、これは、クリエイティブな価値が、資源小国と言われる日本の貴重な輸出資源で、大きな経済波及効果が期待されるからにほかなりません。「クールジャパン」は、もともと日本で生まれたアニメなどのコンテンツを日本人が楽しんでいたものが、インターネット等を通じて世界の目に触れ、評価されるようになり、改めて、資源としていかそうとするものです。日本でその価値を認める「文化」が根付いていたからこそ、続々生まれる日本独特の文化を、世界に紹介することができるのです。
才能あるクリエイターがいて、その価値を認める人が多数いることが「文化」として成立する要件です。クリエイティブな産業が集まる福岡市でも、一部のクリエイターの活動にとどまらず、さまざまな産業や、多くの市民との関わりによって、「福岡の価値」として世界に発信することを、市民とともにバックアップするような「地域の文化」を熟成させていくことが重要です。(2013年10月21日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.クリエイティブ関連「事業所」の全事業所に占める割合【主要大都市比較】 図表2.クリエイティブ関連「従業者」の全従業者に占める割合【主要大都市比較】
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Fukuoka Growth 10 おもてなしのグローバルMICE戦略
グローバルMICE戦略都市・福岡市MICEの中でも世界トップクラスの注目度と参加国を誇るオリンピック。2020年の開催都市が東京に決まり、これまで以上に、世界の目が日本に向けられます。
「O・MO・TE・NA・SHI(おもてなし)」という言葉が注目されましたが、MICEは地域の国際的な交流を促進するだけでなく、産業の振興に大きく寄与することから、世界の都市がMICEの誘致に力を入れています。来訪者の消費による経済的な波及効果やビジネスチャンスの拡大など、大きな開催効果が地域にもたらされるだめです。
多様なMICEが開催され、より多くの海外からの来訪者を増やすことが、その効果を大きくします。
幅広い市民らの参加を募る、集客力のあるイベントも効果的ですが、分野を特化した一般には馴染みの薄いものでも、世界には常にイノベーションやビジネスチャンスを求める専門家や事業者が大勢いて、有益性の高いコンベンションには積極的に参加します。
一過性のイベントに終わらず、地域経済、産業、教育分野などに、可視不可視を問わずさまざまな効果をもたらす国際的なMICEの誘致を強化しなければなりません。福岡市は、日本の 「グローバルMICE戦略都市」に選ばれました。国内で5都市のみで、地方都市では唯一の選定です。
日本政府観光局基準の国際会議件数において、福岡市は年間221件(2011年)と、東京に次ぐ国内第2位の件数を誇ります。一方で、福岡市の国際会議は、比較的中小規模のものが多く、国際的な基準でみると存在感は高くなく、規模や外国人参加者数などに課題は残ります。
アジア各国・都市がMICE戦略を重要政策と位置付け、強化する中で、世界の中の日本、日本の中の福岡市として、グローバルなMICE戦略を実行していかねばなりません。
ネットワーキングやビジネスマッチングなど、海外の参加者にとって有益なMICEを開催するために、国際的な誘致強化とともに、国内における人材やビジネスのネットワーキング環境を整えることが、海外に対する「おもてなし」にもなります。
都市の魅力を訴求するだけでなく、国際機関・国際団体との関係強化や産業界、大学等との密接な連携のもとに、国際会議開催の豊富な経験と実績をいかし、他の都市にない強みをいかした施策を強化していくことが重要です。(2013年11月5日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.世界の国際会議件数推移【地域別】 図表2.国際会議開催件数上位都市(2011年)
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Fukuoka Growth 11 ~人・イノベーション~150万プラスαの力
「モノ」や「カネ」から、リーマンショックやユーロ危機など資本主義の変調を受けて、世界は改めて「人材」の重要性に注目するようになりました。
その国・地域の成長の指針である「付加価値」は人が創り出すものです。世界の貿易において、「付加価値」に関しては、日本は未だに存在感を示し続けています。輸出額に占める付加価値の割合は世界トップクラスです。
一方、早くから「人材」育成の重要性を認識し、教育に力を入れ、今では日本以上の学力を有するアジアの国・地域も増え、相対的に日本の位置付けも低下しつつあります。
世界規模の高度人材の獲得競争が激しくなり、特に教育水準が急上昇しているアジア地域に世界の目が集まっています。ハーバード大学などは、アジアに拠点を設け、優秀な人材の確保に努めているほか、アジアの学生自ら、アメリカに移住してこうした大学進学を目指すなど、国境を越えた高度人材の流動が激しくなっています。日本においては、特に義務教育後に、将来的な進路を意識した教育へと環境が大きく変化しますが、小中学校の段階で、既に韓国、シンガポール、アジアなどより学力が低い状況にあります。
福岡市は、将来的な人口増が見込まれるものの、若年層は減少に転じる見込みであり、付加価値を生み出す人材の量的な減少は、質の向上で補う必要があります。
グローバル経済において、世界と伍する高度人材の育成は急務であり、格差が生じる前の早い段階から、多様な教育環境を充実させていかねばなりません。高度人材の流出を防ぎ、地域で活躍できる環境を整えるとともに、専門的な知識、技術など、全ての市民が持つクリエイティビティが十分に発揮されることが重要で、それらを有機的
に結び付けて、オール福岡の総合力で、地域が生み出す付加価値を高めていくことが重要です。
さらに、世界的な人材流動の中で、福岡市の強みであるアジアとの結び付きや都市の魅力によって、国内外の優秀な人材がオール福岡の一員に加わり、より大きな力を発揮していくことが期待されます。
図表1.福岡市の年代別人口推移予測 図表2.「小学生」平成25年度全国学力・学習状況調査正答率・全国平均との差
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Fukuoka Growth 12 付加価値の源流としての研究・開発
科学技術分野などにおけるさまざまな研究・開発は、学術的な重要性もさることながら、経済活動においても重要な意味を持ちます。世界経済の趨勢は、目に見える指標として、物流量や資金の動きから俯瞰することはできますが、素材の生産・産出から加工品の販売(消費)に至るまで、さまざまな国・地域が関わりながら、 「付加価値」が上乗せされていきます。
企業にとってみると、 「付加価値」は、競合他社との差別化や高い収益性を確保するために不可欠な要素で、競争力を高めるために、「付加価値」を生み出す「研究・開発」への投資が継続して行われます。
特に、グローバルに展開する企業は、世界規模の競争に勝ち抜くために、自社人材だけでは、日々進化する科学技術などの分野で研究・開発の成果を導くことのスピード化が図りにくいため、オープン・イノベーション*1として、専門の研究機関など社外との連携を強化する動きが広がっています。こうした連携は、企業にとっては、大学や研究機関へ委託、あるいは共同研究、資金提供などを通じて、研究の機会や設備等を提供する代わりに、研究成果を製品開発等にいかすことが可能で、大学や研究機関にとっては、最新の設備や技術開発、ノウハウを蓄積できるだけでなく、得られた資金から次の研究投資が可能になるなど、相互にWin-Winの関係を構築することが可能です。
この好循環が、地域の経済成長や高度人材の育成・集積にもつながることから、各国・地域とも、研究・開発を通した産学連携の取り組みを強めてきました。国内では、これまで域内の企業と大学等の連携を通した産業集積を促す取り組みが進められてきましたが、グローバルな企業が世界中の最先端技術、情報にアンテナを張り巡らせている今日においては、各研究機関が世界との結び付きを強めることで、最新の研究成果を積極的に活用し、地域経済や学術分野の活性化を図るという視点も求められています。福岡市においても、多くの企業や大学、研究機関が集積し、各機関の人材が恒常的にコミュニケーションをとることが可能な環境にある中で、「研究・開発」の成果よってさらに大きな「付加価値」を生み出す可能性を持っています。福岡市の企業や大学等が持つ個別の資源を、最も効果的に、スピーディーに活用し、産業の高付加価値化を促す取り組みを、グローバルな視野で展開してくことが重要です。
地域の資源をいかし、地域の企業との大学等の連携を強めて産業を振興することに加え、国内、海外で広く事業を展開する企業と地域の大学・研究機関の協働を増やすことや、地域の企業が域外の大学・研究機関と協働して最新の製品やサービスを開発するなど、福岡市と域外とのつながりを持つことは、グローバル化が進むこれからはきわめて重要です。産学連携のニーズは、個別の研究案件の単位でもさらに拡大すると予想され、先端分野の研究機関が集積する福岡市の強みをいかし、多様な産学連携の形で、地域が生み出す「付加価値」を高めて、経済成長に結び付けていかなければなりません。
世界の産学連携拠点においては、連携の発展要因として、Face To Faceのコミュニケーションの重要性があげられており*2、企業の集積と、伊都地区の九州大学を核とした高度な研究人材の集積など、双方を至近距離に持つ福岡市の可能性は極めて大きいといえます。
(2013年12月5日 情報戦略室 畠山 尚久)
*1オープン・イノベーション:自社の技術だけでなく外部の持つ技術やアイデアを組み合わせて、革新的な商品やビジネスモデルを生み出すこと
*2「欧州大学における産学連携拠点における調査研究報告書」(平静24年月・国立大学法人東京工業大学)より
図表1.福岡県国際特許出願件数推移(2008~2012年) 図表2.福岡市ISIT産学共同研究プロジェクト等件数
外部資金獲得額推移(2007年度~2011年度)
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Fukuoka Growth 13 進化する交通産業の可能性
情報通信技術の進化によって、世界中がネットワーク化され、より広い範囲、より多くの人とのコミュニケーションが可能となりました。ビジネスや観光、人との出会いなど、場を移動する目的も多様化し、移動手段としての交通に求められる要素も変化しています。
交通は、それぞれの目的に合わせて、より快適に、より効率的に、よりスピーディーに進化を遂げ、交通事業者は、単に移動手段、設備を提供するだけでなく、人流や物流、情報通信などに関するさまざまなサービス分野を包含した新しい形の交通産業へと変貌しつつあります。交通は、市民の日常的な利便性はもちろん、世界規模で人の流動が活発になる中で、都市の競争力という点においても、ビジネスや観光で訪れる際の、移動のしやすさ、交通機関の利用のしやすさは重要な要件となっています。
広域的なアクセス性に優れ、域内の移動が効率的であることで、時間や経費の軽減が図られ、人々の動きはより活発に、企業の生産性は向上します。交通の要所には人や物が集まり、そこにはさまざまな産業が根付き、多くの付加価値が生み出されます。特に、大都市における都心部においては、賑わいの創出や商業やサービス業の活性化といった効果も大きくなります。
さらに、今後は、情報通信技術と融合したスマートモビリティ*社会の進展とともに、交通産業は、移動手段の提供だけでなく、付加するさまざまなサービスの可能性が広がり、そこには大きなビジネスチャンスが待っていると考えられます。福岡市は、国際会議件数も増加の一途をたどるなど、市民だけでなく、外国人を含む域外の人が、市内の交通機関を利用する機会が増えています。
福岡市は現在、新しい都市交通基本計画を策定中です。広域と域内のシームレスな交通環境を有し、空港から都心部までの所要時間が地下鉄でわずか5分など、全国的にみても高い利便性を誇る福岡市は、大手鉄道会社・バス会社、市営地下鉄などが揃い、次代の交通産業の可能性を探るのにも適した環境を有しています。
交通は、社会基盤であると同時に、人が生み出す価値と価値をつなぐシナプス(接合装置)としての重要な役割を担っています。地域の交通事業者と、情報通信などの関連分野や先端技術が結び付くことで、世界の交通産業、交通基盤の見本となる取り組みを示すことも可能です。
(2013年12月20日 情報戦略室 畠山 尚久)*スマートモビリティ:高い経済効率とエネルギー効率によって都市の利便性や快適性、安全性の向上を目指す「スマートシティ」の一要素で、情報通信技術などを活用し、環境やコストに配慮しながら、高度交通システムやこれに対応する社会基盤の整備によって円滑で快適な移動の実現を目指すもの
図表1.福岡市における主要公共交通機関の年間乗車人員数推移 図表2.福岡市の国際会議開催件数推移
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Fukuoka Growth 14 投資と金融が集まる’フクオカ・シティ’の可能性
日本は、輸出額に占める付加価値額割合が、国際的にみて高い水準にある一方で、海外からの投資の受け入れについては、国際的にみて極めて低い状況です。このことは、国内で生み出される付加価値の大半を、国内のリソース(資金、人材等)でまかなっているということになります。一方で、国際的にみて、日本の企業の利益率は低く、外資系企業の生産性が国内企業よりも高い傾向にあることが指摘されています(通商白書2013) 。
グローバル経済において、対内投資が地域にもたらすメリットとして、資金や技術、ノウハウの移転などを通じて地域企業の生産性向上が図られ、企業利益率の改善が期待されるほか、雇用面でも、質的、量的な効果が期待されることは言うまでもありません。
また、事業や不動産に対する投資にかかる資金の調達が、過去には銀行など金融機関による融資や株式発行による「間接金融」が中心だったものが、買い余力のある海外投資家や企業などの投資資金を呼び込む「直接金融」の重要性が増しています。
こうした動きを踏まえ、国も、2011年から対日投資促進プログラム(内閣府)による投資受入促進のための取り組みを強化しており、今後の対内直接投資受入の拡大が期待されます。このように、現状においては対日投資が振るわない中、福岡市は、昨年、海外からの高額不動産投資が相次ぐなど、投資対象地域としての存在感を示しつつあります。国内では、東京と比較して物価が安い価地方都市に、投資対象を探す目が移り、地方都市の中では最も成長可能性のある都市として、福岡市の地域としての投資適格性が評価されたものと考えられます。
福岡市は、全国一の単身世帯比率、賃貸住宅世帯比率、マンション世帯比率で、それだけ投資対象となる居住用不動産物件が供給されやすい環境にあるといえます。このほか、生産年齢比率の高さで示される就業者の集積による価値創出や、商業・サービス業の集積によるオフィスビル、商業施設におけるテナント需要など、不動産投資先としてのさまざまな優位性を有しています。
今後は、不動産に限らず、福岡市に域外からどの程度の資金流入や企業等の進出がなされているか、データ収集等による実情の把握に努め、投資先としての優位性を強めるために注力すべき政策や課題を整理していく必要があります。また、投資と金融は切り離せない関係にありますが、福岡市は、九州の経済活動の中心として、地元金融機関等に多くの資金が集まる状況にあるほか、地域に根ざしたリート法人や民間の投資ファンド会社もあります。これら地域の資金と、海外の投資機関等の資金によって、さらに大きな事業開発や投資の可能性が広がります。投資家や金融専門家は、常に投資先の情報を欲しており、投資対象地域に関する情報へのニーズは高いものと考えられます。
福岡市は、スタートアップ都市づくりやMICEの振興に力を入れています。スタートアップには投資家が必要であり、MICEにおける国際見本市などは、国際的なビジネスや投資家のマッチング機会でもあります。 福岡市において、投資家が集いやすい環境の整備が求められているといえます。地域と域外の専門家及び地域企業、起業家等が日常的に交流することで、地域経済の活性化やグローバル化が大きく進むことが期待されます。(2014年1月20日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.福岡県と九州の預金額・貸出金額(2013年) 図表2.福岡市の銀行等預金額と貸出額推移
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Fukuoka Growth 15 都市の経済成長を牽引する都心の役割
福岡市は150万人あまりが暮らす大都市ですが、コンパクトなエリアに市街地が形成されており、都心部を中心に都市の機能がまとまり、世界の中でも暮らしやすい都市として高い評価を得ています。高い生活の質と適度な都市の規模を持つ「コンパクトシティ」として、多くの人が集まり、日本一人口増加率の高い大都市として、今後もしばらくは人口の増加が続く見込みの国内でも稀有な都市です。
しかし、日本全体でみると、既に人口減少社会に陥っており、大都市の中でも、人口減少に転じているところもあります。
これまで、都市への過度な集中に伴う都心部における人や交通の過密性の問題、地価高騰などの弊害が、首都圏をはじめ、福岡市においても一部で散見されましたが、今後は、都市においても、人口減少による低密度な市街地の拡大によるさまざまな問題が予想されます。都市機能が無秩序に拡散・散在することで、都心部の求心力が弱まることで、「まち」の質が低下するだけでなく、都市施設の維持管理、福祉施策等の行政コストの増大、特に高齢者の移動負担の増大、過度な自動車依存によるCO2排出量の増加などが、過疎地域だけでなく「都市問題」として表面化すると考えられます。福岡市は、天神や博多地区などの都心部に多くの機能がまとまっており、現在も九州一円から多くの人がさまざまな目的で訪れ、移り住む吸引力を発揮しています。過度な集中の問題も危惧されますが、今の福岡市の強みである生活の質や求心性を維持し、都心部のポテンシャル向上によって周辺地域全体の牽引力を高めていくという考え方に立つことが重要です。
「コンパクトシティ」は、都市が小さくまとまっていることでなく、基幹交通路線沿線など郊外の小拠点との棲み分けや機能分担がなされた上で、都心部の機能が集約、確立されて、求心力を保ったまま郊外地域と共存する都市構造を持つことが、あるべき姿といえます。かつて郊外に人口が流出し、都心の空洞化・ドーナツ化現象と言われた時代から、「都心回帰」と呼ばれる都心部人口の増加傾向が強まり、福岡市においても中央区、博多区の人口増加率が他区より高い状況です。都心部に住む人が増え、求められる機能も、生活者視点を含むものに変わってきています。
加えて、観光やビジネスなど、海外を含む域外との交流人口の増加は、都市の活力を高めるために不可欠な条件であり、都心部は域外の人が訪れ、街を判断・評価する「顔」の役割を担うと同時に、市民と交流し、価値を見出す重要なエリアです。国内の各都市は、これまでどちらかと言うと個性を感じさせない景観や空間が形作られてきましたが、世界の大都市の都心部には、魅力あるイメージ形成を促す特徴的な街区も多く、訪れる人の期待感を高めるところも少なくありません。
福岡市、そして都市圏、九州全体を牽引するために、都心部の強みを効率的に発揮できるよう、今後は、住む人や来訪者にとって快適で利便性の高い魅力的な空間づくりを目指すとともに、都心部自体が海外などからの来訪目的となるような機能の集積と再構築を進め、求心性を維持、高めていかねばなりません。
都心部の博多駅周辺や天神地区、港湾地区などでは、今後もいくつかの開発計画が控えていますが、これらの開発を機とした、都心部エリア全体の機能と魅力の再構築を図り、国際的にみても存在感のある次代の都心部像を描いていくことが重要です。(2014年2月5日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.福岡市の区分別人口増加率 図表2.1㎡あたり年間販売額(2012年)【全市・博多区・中央区・都市圏比較】
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※グラフはクリックで拡大できます。

Fukuoka Growth 16   自然と共生する都市の進化

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東日本大震災の記憶も新しいところですが、日本は地震が多く、過去にも度々大規模な地震災害にみまわれ、甚大な被害を受けてきました。一方で、被災の経験をいかし、地震に対する備えや減災の取り組みは、さまざまな分野で広がり、進化してきました。
自然と共生することは、ときに猛威をふるう自然災害に備え、人々の生活環境を維持、進化させることであり、ビジネスなどの経済活動についても無縁ではありません。東日本大震災を機に、BCP(Business Continuity Planning;事業継続計画)の策定が注目されるようになったのも、不測の事態に備え、リスクを回避するとともに、被害を最小限に抑える=損失を最小限に抑えることを目的としたものです。
近い将来、日本は再び大規模な地震の発生が予想されており、特に、東京をはじめ太平洋沿岸に集中する国内の主要大都市は、地震や津波による甚大な被害が予想されています。これらの都市が同時に都市機能を麻痺すると、国家としての機能も停滞する危険があり、さまざまな機能の分散やバックアップ体制の強化が求められています。
民間企業にとっても、経営資源の分散やバックアップによって、災害時の損失を抑えることが、株主や顧客、従業員の利益を守るための、危機管理上の重要な経営課題となっています。
福岡市は、国内にあっては比較的地震や津波の影響が小さいと予想されており、都市の規模や基盤、人材など、一定の集積があることから、バックアップ機能やリスクの回避先としては、国内で最も可能性の大きな大都市であるといえます。また、自然との共生は、生活の質を左右する重要な要素ですが、福岡市は、コンパクトな市街地を取り囲む山と海に面したバランスの良い市域を有し、都心部などにおける高い利便性と、周辺部における良好な自然環境のもと、高い生活の質による暮らしやすさが、世界的に高い評価を得ています。
世界的に人材の流動化が強まり、クリエイティブな産業に従事する人は、生活の質を重視して仕事と質の高い生活を両立する都市に住む傾向にあり、世界経済の中心がアジア地域へシフトする中で、次代の付加価値を生み出す人材の集積を図る上で、福岡市は大きなアドバンテージを持っています。
農業や漁業及びそれを素材とする食産業など、自然の恵みをいかした産業も根付いており、自然と共生する社会づくりは、環境保全、防災対策に加えて、地域の付加価値づくりという面でも、大きな可能性を秘めているといえます。福岡市は、急速に都市化が進み、市街地は拡大しましたが、自然環境の保全に努め、市街地においては都市公園など創出系の自然を増やす取り組みを進めてきたほか、過去の大雨災害の被害などを教訓に、防災面でも、自然との共生を念頭に、さまざまな取り組みが進められています。
福岡市は、自然との共生によって、経済活動を活性化し、新しい都市の進化の形を示すことが期待されます。福岡市における自然と共生する社会は、都市の進化とは相反するものでなく、新たな付加価値を生み出す源泉でもあります。(2014年2月20日 情報戦略室 畠山 尚久)
図表1.福岡市の平均気温年間推移(2013年・平年値) 図表2.可住地・林野と主要湖沼面積比率【主な大都市比較】
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※グラフはクリックで拡大できます。
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Fukuoka Growth 17   Going Forward

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Fukuoka Growth 17 Going Forward_日本語版(pdf/1.77MB)
Fukuoka Growth 17 Going Forward_英語版(pdf/1.21MB)

福岡を取巻く環境は目まぐるしく変化し続けています。
• 2013年度だけを見ても、富士山の世界文化遺産への登録、2020年の東京五輪・パラリンピック開催決定、 JR九州の「ななつ星in九州」の運行開始など、日本や九州を浮揚させる明るいニュースが沢山ありました。
• 一方で、東アジア、中東、中央アジアなどの政情不安、世界各地で頻発する災害、国内外の不透明な経済見通しなど、課題も山積しています。
• そのような中、人口が150万人を突破した福岡市では、新しい総合計画が策定され、観光庁より「グローバルMICE戦略都市」に指定され、国家戦略特区に申請するなど、持続的な成長に向けた歩みを進めています。

都市の定点観測に基づくコミュニケーションが重要になっています。
• 社会の変化がますます速くなっている今日、成長に向けた地域戦略の進捗を評価し、必要に応じて見直していくことが不可欠です。
• そのため、データによる都市の定点観測の重要性は増しており、当研究所のみならず様々な関係者が、福岡を観測し、それを基にコミュニケーションを深めていくことが重要です。

コミュニケーション・ツールの一例として『Fukuoka Facts』をご紹介します。
• 『Fukuoka Facts データでわかるイイトコ福岡』 (http://facts.city.fukuoka.lg.jp/)
• URC情報戦略室も参画しているこの取り組みでは、 『Fukuoka Growth』の内容の一部が、クリエイティブの力によって素晴らしいコミュニケーション・ツールに昇華されました。
• その結果、自治体が持つデータを、街の宣伝・広告活動に繋げる優れた取り組みとして産官学組織「オープンデータ流通推進コンソーシアム」から「
日本マイクロソフト賞」をいただきました。このように、データが地域を考える人々のコミュニケーション・ツールになって行くことが、私たちURC情報戦略室の願いです。

『Fukuoka Growth』は、今回の第17号を持って終刊します。
• 世界地図上の福岡の位置を明確に定める一助になることを目指して、2013年6月の創刊から9ヶ月間、ほぼ隔週ペースで発行して参りました。
• これまでに目を通して下さったり、データ収集や分析のご協力下さった皆様に、心からお礼申し上げます。
• これからも、Fukuokaを、そしてURC情報戦略室を、よろしくお願いします。
• 4月以降は、さらに進化した形で、定期的に情報の発信・提供を行う予定です。

『Fukuoka Growth』book(冊子)を発刊します。
• これまで発行した『Fukuoka Growth』を再編集、再構成した冊子(B5版)を発行します。データでみる福岡市の成長ポテンシャルの確認はもちろん、英語併記となっておりますので、海外を含む他の地域へ、福岡市の魅力や成長力を紹介、PRするツールとしても、ぜひご活用ください。詳細は、近日中に当研究所ホームページで発表します。

2014年3月17日
公益財団法人福岡アジア都市研究所
情報戦略室長
後藤太一

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