福岡市内企業・事業所のWLB推進支援施策に関する研究(2)
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背景

個別研究

2014.03.12

福岡市内企業・事業所のWLB推進支援施策に関する研究(2)

研究趣旨

福岡市がアジアの「価値創造都市」を目指す上では、効率的で、創造性を発揮しやすい都市社会への変革が不可欠であり、そのためのステップとして福岡市の企業における「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)」の推進を支援していくことが必要であるとの認識に立ち、昨年度から、その実態を把握し、政策課題を明らかにするための調査・研究を行っています。

昨年度の研究結果を「福岡市における企業・事業所のWLBへの取組み実態と政策課題に関する研究(1)」として研究報告書に取りまとめたのに続き、今年度は、男性従業者および企業経営者を対象としたアンケート調査によって、育児休業等の取得率が低い男性従業者の意識動向および企業経営者の推進への取組に関する意識動向等を把握し、推進支援政策のあり方を提案する。

研究結果

(財)福岡アジア研究所が2年間にわたり研究してきた、ワーク・ライフ・バランス(以下、WLBと表示)推進支援施策のあり方に関する研究である。 ⇒1年目はこちら
本研究の動機は、「人口減少社会化やグローバルなメガ・コンペティションに適応していくために、福岡市は、今後、魅力的な都市を形成し、クリエイティブな人材を育成・吸引し、価値創造型の都市機能を強化していくことが必要である」という強い思いである。
魅力的な都市とは、町並みや施設や交通などのハードだけではなく、そこに生活する市民や活動する企業等の生き方や繋がり方によって創り出されると考えられる。そのためには、市民の「仕事と生活」のあり方を変え、生き生きと働き、かつ、自由に多様な生活活動を行える都市社会を目指す必要があり、WLBの推進は、その「要」に位置する政策だと考えたからである。

今回の研究では、WLB推進の上で重要な鍵となる企業経営者の意識動向と、男性従業者の職場環境や家庭における家事・育児等の分担・協力状況等意識や生活実態について、福岡市内を対象としたアンケート調査を実施した。
企業経営者アンケートでは、市内所在企業で従業者数の多い上位500社を対象とし、約100社から回答を得た。回答者の殆どがWLB推進に肯定的であったが、実際の取組意向としては「既に取り組んでいる」企業(44.4%)を除き、「積極的取組」が56.3%、「消極的取組」が38.1%、「取組むつもりはない」が1.8%であった。
男性従業者アンケートでは、役職や年齢の偏りに配慮した1,050人を対象とし、700人を超える回答を得たが、殆ど(91.9%)がWLB推進に肯定的であった。僅か(4.0%)に否定的な回答があったが、企業や職場の機能維持に対する不安や、勤労の価値観崩壊への懸念が要因と考えられる。また、回答者自身の育児休業や介護休業を取る可能性(ないし必要性)を聞いたところ、「実際に休業取得した」という回答は計1%に満たなかったものの、今後、「介護休業をとる可能性がある」という回答が28.4%に上ったことは注目される。特に、40~49歳では47.7%に達した。
男性従業者の家事遂行状況は、「ゴミだし」、「日常の買い物」、「部屋掃除」、「洗濯」、「炊事」、「風呂洗い」、「食事の後片付け」7つの行為すべてにおいて全国を上回っていると見られる。しかし、育児遂行状況は、「遊び相手」、「風呂に入れる」、「食事をさせる」、「寝かしつける」、「オムツ替え」、「あやす」、「保育園等への送迎」の7つの行為の合計で見ると、全国に比べて、20~29歳ではむしろ高く、30~39歳ではほぼ全国並みであったが、40~49歳層の育児遂行状況が極端に低いため、全体では、全国を下回っている。

以上のような結果を踏まえ、
(1)「事業主行動計画」を策定しようとする企業が、既に推進している企業の実例を学べる場、機会を設ける。
(2)WLB推進「事業主行動計画」策定と併せて、業務や人事マネージメントの改善を図るよう推奨するとともに、WLB推進のアドバイザーなどを利用する際の経費の一部補助を行う。
(3)企業経営者や従業者自らが「経営の質」の向上、「働き方の質」の向上を目指す取組の1つの手段として、PDCAサイクルの導入やTQM等の普及を図る。
(4)学校教育の中で「仕事と生活の調和」の重要性を学習する機会を作る、また、ソーシャル・メディアを利用してWLB概念の発信を行う。
(5)WLB推進に向けて取組を行っている市民グループ、職場グループ、地域グループ等のネットワークを形成し、その活動を支援する助成措置などを講ずる。
(6)WLB推進モデル市民を選考し表彰などを行う。
等の政策的提案を行った。

研究予定期間

平成 22年 4月~平成 23年 3月

担当

岡田 允 特別研究員 ※主担当
田梅 朋子  研究主査
白浜 康二    主任研究員

研究報告書

全ページ(pdf/9.46MB)

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