リレーコラム 11. 福岡市地域包括ケア情報プラットフォームの構築


11. 福岡市地域包括ケア情報プラットフォームの構築
~住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるために~
✔本人や家族と医療関係機関の情報共有をICTによって促進
✔福岡市地域包括ケア情報プラットフォームによる先進的なモデルシステム構築への期待

ここで重要となるのが、サービスの提供側だけでなく、当事者である本人・家族等利用者側も含めた関係者間の「正確で」「早く」「切れ目のない」情報のやりとりです。例えば、急性期(症状が急激に現れる時期)の治療(医療)終了後の回復期(日常生活動作の自立をはかっていく時期)で在宅医療介護を受けることになった場合、高度治療を行う医療機関、居住エリア内の医療機関、介護専門職、在宅介護支援施設事業者、患者(利用者)生活支援サービス事業者など、さまざまな機関等との情報共有が必要となります。
近年のICT(情報通信技術)の進展は、介護・医療、福祉分野においても、従来にはなかった情報共有の体制づくりを可能とし、さまざまな機関による効率的な情報の共有等を可能とするICTを活用したシステム構築の取組が全国的に進んでいます。
福岡市の保健福祉局でも、平成27年度から3か年計画で、「地域包括ケアシステム」の情報基盤となる福岡市地域包括ケア情報プラットフォームの構築に取組んでおり、ICTを活用し、支援側・利用者側を含めた多様な関係者間の情報共有の実現をめざしています。【図1参照】
2015年度(平成27年度)は、データに関する基盤構築整備の時期にあたり、情報プラットフォームのコア部分にあたる行政内部データや統計データ等の集約及び介護や医療などそれぞれの機関が保有する独自情報・データの整理と整備を行っているところです。今後も、順次プラットフォームの整備が進められ、福岡市における「地域包括ケアシステム」の情報基盤として構築されます。【図2参照】
福岡市地域包括ケア情報プラットフォームが本格的に運用されると、サービス提供側である医療・介護関係者だけでなく、利用者である地域住民の安全・安心な生活を守るために必要な情報システムとして、関係者間の連携が促進され、「地域包括ケアシステム」が目指す支援・サービス提供体制の確立につながるものと期待されます。
情報システムの構築に当たっては、セキュリティの確保が欠かせません。福岡市地域包括ケア情報プラットフォームでは、個人情報保護上の配慮や、データ利用上の制限等の条件整備、データ利用に対する責任の範囲等、様々な課題の解決も並行して進められています。
今後の超高齢社会への対応に当たっては、このようなICTなど最新技術を利活用し、高度なサービスを安全に、効率的に提供していくことが大変重要になります。福岡市における地域包括ケア情報プラットフォーム構築の先進的な取組が、他の自治体のモデルとなるような完成度の高いシステムとなることを期待しています。
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