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リレーコラム 09. これからの福岡発展のカギも鉄道にあり!?

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[October 26, 2015] Fukuoka Growth 2015-2016 GlobalCityStatus リレーコラム   View this post in pdf pdficon_small (668KB)

09. これからの福岡発展のカギも鉄道にあり!?
~人の動きとまちの賑わいを創り出す大切なツールとして~

✔福岡が大きく発展した背景に、鉄道整備が大きな役割を果たした
✔快適で成長する都市・福岡の実現に向け、公共交通に関心を持ち、将来を考えよう
テキスト:主任研究員 白浜康二
去る9月19日と10月3日、タレントのタモリさんが全国各地をブラブラ歩き、街の歴史や人々の暮らしに触れる、NHKの人気番組『ブラタモリ』で福岡市が舞台となりました。放映前から話題となり、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

このうち10月3日の放送は、「福岡と鉄道~福岡発展のカギは「鉄道」にあり!?~」とのテーマで放送されました。鉄道関連の史跡や車両基地を巡りながら、明治時代の市政制定当初は鹿児島、長崎に次ぐ九州第3の都市だった福岡が、路面電車の開業(1910年)による福博一体化、また、西鉄大牟田線の開業(1924年)による沿線人口増などにより、大正期には九州最大の都市となり、一旦は5市合併した北九州市に抜かれるものの、山陽新幹線の延伸開業(1975年)を経て再び九州最大の都市となった、と振り返っていました。

fggcs2015_09_data01また、これも番組で触れていましたが、鉄道による旅客輸送だけではなく、天神では、福博電気軌道と博多電気軌道の2路線が交差し(現在の天神交差点付近)結節点となったこと、博多では、1963年の駅舎移転及び土地区画整理事業と、36年間にわたり新幹線の西の終点であったこと、そうした「ターミナル化(効果)」が、両地区の今日に至る商業・ビジネスの集積(図表1)の原点となっています。



img0999_JRHakataかつての鉄道は、全国/地域における交通の生命線でした。市内/郊外/都市間の輸送にそれぞれ適した路線を有し、また、ターミナル効果で人や企業の集積を高めた福岡市が、鉄道を背景の一つに大きく成長したことは間違いありません。番組の最後でタモリさんも「福岡発展のカギは鉄道にあった」と大いに納得した所以です。

しかしながら、日本の鉄道整備は昭和40年代まで、旅客輸送よりも貨物輸送、北部九州で言えば石炭輸送の観点から敷設された路線が多かったのです。網の目のように張り巡らされたそれらの路線は、エネルギー革命とモータリゼーションにより多くが廃線の運命を辿ります。

福岡市及び近郊では、西鉄 宮地岳線(一部、2007年)、JR貨物 博多臨港線(一部、1998年)、国鉄 勝田線(1985年)、国鉄 筑肥線(一部、1983年)、西鉄 福岡市内線(1979年)などが廃線となりました。廃止となった理由は様々ですが、もしも、これらの路線が現在も営業していれば、福岡の発展の姿が今とは異なるものとなっていた(一層発展していた?)かもしれません。

例えば、富山県富山市では、利用者減が続き廃線されたJR富山港線を2006年にLRT(Light Rail Transit)化し、利便性・サービスの向上や周辺のまちづくり促進に努めた結果、利用者数はLRT開業前の2~3倍に増えました。そのほか、市内電車の環状線事業化(2009年)、JR高山本線活性化社会実験(2006~11年)など鉄道の利活用促進施策と、様々なまちの整備事業を包括的に進め、中心市街地の活性化やまちなか居住回帰の効果が上がりつつあるそうです。

このように、コンパクトシティ化を進めるうえで重要なツールである鉄道ですが、一方で沿線人口の増大に対応が追いつかず、福岡の鉄道路線でも通勤ラッシュで首都圏並みの混雑度となっている区間もあるようです。

fggcs2015_09_data022000年代以降の自動車非所有化(シェアリング他)やコンパクトシティといったトレンド、また、国内外の多くの利用客で賑わう「ゆふいんの森」、豪華クルーズ列車として全国的に話題の「ななつ星in九州」(いずれもJR九州)、「旅人」「水都」(いずれも西日本鉄道)といった観光列車群が、公共交通による旅行需要の誘発、ひいては福岡の魅力向上にも大きく寄与している様を鑑みると、鉄道をはじめとする公共交通機関や交通結節点(ターミナル、ハブ)がどのようにあることが、快適かつ成長する都市・福岡に相応しいのかを考える時期にある気がします。(参考:福岡市の公共交通利用客数の推移

日本最初の鉄道が新橋~横浜間を走った10月14日は「鉄道の日」とされ、10月にはそれを記念した国土交通省や鉄道事業者などによる様々なイベントが行われます(=九州レイルマンス(pdf/約916KB))。

日々の通勤・通学、あるいは出張・旅行などでの利用を通して、私たちの福岡と、鉄道をはじめとする公共交通機関の未来を一度考えてみませんか?

写真はいずれもイメージ(トップ写真:福岡市内撮影, 文中写真:福岡市画像検索サイト「まるごと福岡・博多」より福岡市提供)
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過去のコラム: http://urc.or.jp/category/research_publication/publication/fukuokagrowth-2015-2016-column
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