リレーコラム 06. 防災先進都市を目指して


06. 防災先進都市を目指して
✔早い段階の地震・降雨時から情報収集態勢をとる福岡市防災部局
✔福岡市消防局は初動対応の速さで有名
福岡市は古来から地震が無い地域と言われてきました。645年の筑紫大地震や1898年の糸島地震などの古い記録が残っていますが、これらの震源は筑後地方及び糸島半島であり、福岡市は直接的な被害を受けていません。
そんな中、福岡市は初めて地震を直接的に経験しました。2005年3月20日に発生した「福岡県西方沖地震」です。博多湾を南北に通る「警固断層帯北西部」を震源としたこの地震により、福岡市の安全神話は崩壊しました。しかし、最も危険なのは、福岡市都心部直下を通る「警固断層帯南東部」です。この断層の影響により、今後30年間にマグニチュード7規模の大地震が発生する確率は最大6%、今後100年間での同発生率は20%という調査結果が出ています。これは、国内に2,000以上あるといわれる断層の中で、上から10番目ほどの高い数値です。ちなみに、阪神・淡路大震災の原因となった断層の30年間発生確率が8%だったことを考えると、警固断層帯南東部もかなり高い数字であることがわかります。
一方、風水害をみてみると、福岡市は度々水害に見舞われています。1953年に発生した西日本大水害をはじめ、1963年、1973年と、10年に1回程度、大きな水害が発生しています。近年では、1999年と2003年に博多駅地区で発生した大水害は、記憶に新しいところではないでしょうか。(1999年の水害では、博多駅地下街で犠牲者1名が出てしまいました)
ここ数年、いわゆるゲリラ豪雨など想定外の降雨により、昨年起きた広島市での事例のように、土砂災害や河川の氾濫・内水氾濫が全国的に頻発しています。福岡市においても、降雨による災害は他人ごとではありません。
都市の危機管理や防災について、近年、都市の自然災害等に対するレジリエンス(耐久力・回復力)という言葉がキーワードとなり、世界的に議論されています。
福岡市における危機管理・災害対応の取組をみると、防災部局が、初動対応の重要性に鑑み、地震の場合は震度4以上発生時から、降雨の場合は福岡管区気象台から発表される大雨・洪水注意報発表時から情報収集態勢をとり、関係部局(気象台・県・県警・自衛隊など)との連絡調整や被害情報の収集を行うなど、他の政令市と比較しても早い段階からの対応を取っています。(ほとんどの自治体は、地震は震度5弱以上、降雨では大雨・洪水警報発令時以降に態勢開始)
また、市ホームページの危機管理情報サイトに河川水位情報をリアルタイムで確認できるシステムを設けるなど、市民がいつでも災害状況を把握できるよう、情報発信にも努めています。
さらに、緊急時の食糧については、大手コンビニやスーパーなどと協定を結び、市からの要請により必要な食糧・飲料水・生活必需品などが避難所まで配送されるシステムを構築しています。これにより自治体は、余計な在庫を抱え込むことなく、消費期限を気にすることもありません。(流通備蓄と呼びます)
一方、集客施設など民間の施設においても、食糧等の備蓄を自発的に実施したり、施設内への雨水の流入を食い止めるため、止水板の設置にも積極的に取り組まれており、事業者の防災意識の高さを窺い知ることができます。
また、福岡市の消防局は、全国的にも福岡市の初動対応の速さが有名で、救急車は通報から平均6分35秒で現場に到着し、全国平均を大きく上回っています(リンク先PDF・P100 )。(全国平均は8分30秒:平成26年度「消防白書」(リンク先PDF・P172 )より)