Fukuoka Growth 08 食の強みをいかす福岡らしい価値の創造 2013.10.8 Version1.0(pdf/1.13MB) 世界における「食市場」は、主に途上国の人口増加に伴い、今後10年で倍増することが見込まれ、国の成長戦略「日本再興戦略」でも、農水産物をはじめとした日本の多様な「食」を、世界に向けて発信を強化していくことが盛り込まれました。グローバルな「食」関連企業が世界で存在感を高める一方で、日本の消費者は、安全な「食」へ特に高い関心を示し、国産志向が強く、地産地消という言葉が広がるなど、素材や産地を付加価値として重視する傾向があります。 こうした背景から、グローバルな「食」の標準化とは異なる価値観で、国内では今も各地域の食文化に基づく「食」にかかわる産業とローカルな物流体系が成り立っており、その中でも、福岡市は、九州の多彩な食材に支えられて、それを生かす多くの人たちの手によって、魅力的で多様な食文化を育んできました。「食」にかかわる産業は、農林水産業はもちろん、加工製造、さまざまなサービス分野などが含まれ、ここ福岡市でも古くから多くの関連産業・企業が栄えてきました。 さらに、生産地におけるITを駆使した生産管理や物流の革新、医療やバイオテクノロジーとの結びつきなど、関連する産業分野の裾野は大きく広がりつつあります。 この福岡市の恵まれた「食」を、より多くの価値を生み出す次代の産業の柱として育てていかねばなりません。それは「食」のグローバル企業を生み出すことに限らず、付加価値の高い「食」を創造するチャレンジの支援や、その魅力で国内外の多くの人を呼び込むなど、 「食」が本来持つ地域性をいかしながら、福岡ならではの価値を高め、発信していくことまで含みます。 福岡市は、産地と大消費地の両面併せ持つ強みがあります。「食」にかかわる分野には、 アントレプレナーシップを持つ人が多く、 起業・開業が盛んです。 「食」の市民満足度が高いのも、このような背景、強みによるものと考えられますが、市民だけでなく、観光客の食事やアフターコンベンションなど、福岡市を訪れる人にも、その満足度を共有してもらう機会を増やしていくことが必要です。 (2013年10月8日 情報戦略室 畠山 尚久) 図表1.福岡市民の都市環境満足度上位項目 図表2.エンゲル係数【主要大都市比較】 図表3.飲食店「新設」事業所比率【主要大都市比較】 ※グラフはクリックで拡大できます。