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Fukuoka Growth 06 生活の質で成長する都市

福岡市が2012年に策定した第9次福岡市基本計画で、高い生活の質が都市の成長を導くという都市戦略を掲げ、多様で多彩な人を引き付ける魅力を高めていくことを目指しています。アメリカの社会学者・リチャード・フロリダは、世界が、製造業から知識集約型のクリエイティブ経済にシフトし、成長の原動力は、才能と生産性に満ちた人々の蓄積と集中であると指摘しました。
そして、「クリエイティブ・クラス」と呼ばれる知識集約型産業で働く人々が、特定の地域に寄り集まって住むことで、新しいアイデアが生まれ、その地域の生産性が高まり、さらに多くのクリエイティブ・クラスを引き付けることとなります。フロリダは、今日の世界においては、才能、イノベーション、クリエイティビティのような現代の主要な生産要素は均一には分布しておらず、いくつかの「メガ地域」がグローバル経済を担っていると指摘しています。また、 「創造性は居心地の良い場所を求める」ため、暮らしやすい都市に優れた人材が集中し、結果として「メガ地域」は世界的に均衡ではなく「スパイキー」(尖ったの意)に発展しているとしました。そして、スパイキーなメガ地域には「北部九州メガ地域」として福岡市も含まれています。福岡市は、1000km圏にある東京や上海、ソウルなど世界トップクラスのメガ地域、巨大都市群に囲まれていますが、福岡市自体は人口150万人規模の、世界的にみると決して巨大ではない、しかし1300万人が住む九州地域の中枢都市としての拠点性と集積度を持っています。都市機能がコンパクトに集中した暮らしやすさも有しており、巨大都市群とは異なる生活の質を感じることができる都市です。さらに質を高め、住む人にとっての満足度と、世界に向けた魅力度を高め、都市の成長によって「クリエイティブ・クラス」をはじめさらに多くの人が引き付けられ、起業や新たな事業を始める機会が増える好循環を生み出すことにつながります。

(情報戦略室 畠山 尚久)

図表1.福岡市民の住みやすさ評価 図表2.英モノクル誌・世界で最も住みやすい都市(2013年)
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※グラフはクリックで拡大できます。
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