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「第3極」の都市plus3:03.「第3極」の都市plus3にもポケモン現る?!

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03.「第3極」の都市plus3にもポケモン現る?!

米国での人気ぶりが話題となり、先日ホワイトハウスの記者会見でも使用時の注意が促されたスマホ向けゲーム「ポケモンGO」(Niantic、任天堂など)の配信が日本でも開始されました。現時点で、「第3極」の都市plus3に選定した9都市(釜山、ヘルシンキ、ストックホルム、バルセロナ、ミュンヘン、メルボルン、バンクーバー、シアトル、福岡)でも、釜山を除く全都市でポケモンを探せるようです。「ポケモンGO」ユーザーは幅広い年齢層になると見込まれますが、9都市にはどのような人が住んでいるのでしょうか。

今回は、「第3極」の都市の評価軸のひとつである「生活の質」のうち、「生活・コミュニティ」にかかわる指標を比較します。

9都市の圏域と人口
まず、9都市の中核となる市とその周辺地域である都市圏の人口と面積をみてみます。
釜山は広域市のため、市域と都市圏域が重なりバルセロナの都市圏域と同じくらいのサイズですが、面積は9都市の市域面積のなかで最大です。都市圏で最小人口のヘルシンキは最大人口のメルボルンの約二分の一ですが、市域人口はバンクーバー、シアトルと大差ありません。9都市の市域規模が近いことや、市域人口と市域外人口のバランスが似通っていることから、都市圏の境界設定に差はあるものの、いずれの都市も一定の範囲に近い規模の人口集積がなされていると考えられます。

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着実に進む高齢化
次に、都市の基本的な構成要素である「人」に注目し、人口構成をみていきます。福岡市は国内大都市のなかで最も若者(15~29歳)の割合が高い都市ですが、9都市のなかでは、平均年齢が釜山、ミュンヘンとともに最も高く約42歳となっています。次いで、ヘルシンキとバンクーバーが40歳と高く、最も低いメルボルンは36歳で、最も高い3都市と6歳の差があります。
また、人口に占める65歳以上の高齢者の割合(州ごとの比較)も、福岡が含まれる九州・沖縄が、9つの州のなかで最も高い比率となっています。同じ年(2012年)の福岡市の高齢者比率は18.2%と州(九州・沖縄)よりも低い数値となっていますが、高齢化は継続して進んでおり、2014年には19.7%になっています。世界的に高所得国で高齢化が進んでいるといわれています。高齢化率上位10か国(World Bank・2015年)に、「第3極」の都市plus3から日本、ドイツ、フィンランド、スウェーデンが入っており、福岡、ミュンヘン、ヘルシンキの人口構成が比較的近い状況にあることが考えられます。

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都市の活力は人にあり
都市の活力は人が生み出します。そのカギを握る「人」の変化、人口動態を比較します。福岡は、全国の政令指定都市のなかでは最も高い人口増加率を記録し、2010年からの5年間で5.1%増えました。しかし、各都市圏の人口増加率においては、北欧2都市とともに比較的低い数値となっています。釜山は唯一人口減ですが、各国の合計特殊出生率の比較においては、最下位ながらも他の低い地域と遜色ありません。福岡市の合計特殊出生率(2013年)は1.24と全国より低く、最下位の韓国よりも若干低くなっています。都市の活力を維持するためには、社会増だけでなく自然増も促進する余地があるとみてとれます。

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仕事効率化で余暇を楽しむ
都市の魅力のひとつに、余暇を楽しむ環境を挙げることができます。限られた時間を余暇に費やすには、労働時間が短い必要があります。国別の年間実労働時間を比較すると、韓国の労働時間が最も長くなっています。日本の労働時間は、夏季休暇を1か月取得することは珍しくないヨーロッパ諸国と大差ありません。しかし、経済の好調なドイツの年間労働時間が最も短いことから、労働の時間よりも質が重視されていることがうかがえます。福岡でも働き方のさらなる効率化が図られ労働時間が短くなれば、余暇を楽しむ人が増え、まちの活気が都市の魅力となるかもしれません。

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稼げる都市
各州の一人当たり家計可処分所得を比較すると、ワシントン州が最も高くなっています。慶南州と九州・沖縄は最も低い水準です。また、各都市圏(福岡は九州北部大都市圏)の一人当たりGDP(ppp:購買力平価ベース)の比較において、福岡は最も低く、釜山はバルセロナよりも高くなっていますが、9都市圏のなかでは低い数値です。最も高いのはシアトルで、ミュンヘン、ストックホルムが続きます。一人当たり家計可処分所得とのずれは、州と都市圏の差であり、州の所得が都市圏の経済力に支えられていることがうかがえます。
なお、福岡市の2013年度市民経済計算にもとづく一人当たりGDPは444万円であり、2016年6月末ドル円相場1US$=103.25円で計算した場合、約43,000US$となります。福岡の一人当たりGDPは現在の為替レートではバンクーバーに近い水準にあるとみることができます。

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物価の安さは財布に優しい
バブル崩壊後、コストパフォーマンスに対する意識が消費者の間に広まりました。都市生活を快適に過ごすには、物価の安さが関わります。ここでは、各都市における各種物価水準について、Numbeo.comによる各種物価のオンライン調査データの比較を行いました。外食、食料雑貨類、家賃の3項目の物価水準について、ニューヨークの価格を100とした数値によって示されています。福岡の家賃と外食価格の水準は、9都市のなかで最も低くなっています。一方、食料雑貨類価格は最も高く、ニューヨークの水準に近いものとなりました。最近の円高の影響があるのかもしれません。
また、近年韓国の物価は上昇し、釜山と福岡の物価は似たような水準になっています。

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寄附でささえる共助社会へ
都市には様々な人が集まりささえあって暮らしています。すべての人から義務として徴収した税金で多くの人々をささえています。他に、ボランティアで自主的に都市社会をささえることもできます。そのひとつに寄附という金銭的なささえかたがあります。ここでは、ジョンズ・ホプキンス大学の調査による各国の寄付金額の対GDP比によって、9都市のささえあいの傾向を見てみます。9か国のなかでは、ドイツ、韓国、日本の比率が低く、最高の米国と大きな差があります。日本でも近年社会貢献意識は高まっていますが、確実に近づく超高齢化社会にそなえ、活力あふれる共助社会づくりが求められており、そのような活動をささえる寄附の充実が必要とされています。情報通信技術やアプリケーションの普及により、クラウドファンディングなど新しい形での寄附が市民に浸透してきているなか、今後上昇余地のある指標といえます。

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テキスト:情報戦略室 山田美里

 

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