
URCナレッジコミュニティ 防災ワークショップ【報告】
「みんなが助かる社会とは ~外国人の困りごとや備えについて考えよう~」
URC Knowledge Community: Disaster Prevention Workshop 【REPORT】
“What makes a society where everyone can be saved
– Let’s talk about the challenges and the preparedness for foreigners! –“
研究主査 菊澤育代
[Nov 6, 2019]
URCでは、2019年度「防災」をテーマに総合研究に取り組んでいます。なかでも、福岡を訪れる外国人や市内の在住外国人が増加していることを踏まえ、災害時の外国人支援にフォーカスをあてています。
その一環として、URCの定期イベントであるナレッジコミュニティにて、防災ワークショップ「みんなが助かる社会とは “外国人の困りごとや備えについて考えよう”」を開催しました。
当日は、定員(30名)を上回る38名の方(うち13名が外国出身者)にご参加いただき、テーマへの関心の高さが伺えました。参加者は、福岡県・市内で活動する、国際・防災・観光関係の団体・事業者、メディア、学校等、外国人の災害支援に携わる多様な関係者ならびに留学生らで構成され、活発な議論が交わされました。
◆ワークショップ概要◆
【タイトル】 「みんなが助かる社会とは “外国人の困りごとや備えについて考えよう”」
【日時】2019年10月31日(木) 15:30~17:30
【会場】福岡アジア都市研究所 会議室
【主催】公益財団法人 福岡アジア都市研究所
【共催】福岡市
【定員】30 名
【プログラム】
15:30 URC常務理事挨拶
15:35 URC報告「都市における外国人災害対策と災害時における外国人の脆弱性」
・URC研究主査 中村 由美
・URC研究主査 菊澤 育代
16:00 ワークショップ進め方の説明
16:05 ワークショップ① 「多様なシーンにおける課題発掘」
16:35 ワークショップ② 「助かる社会の環境づくり」
17:05 ワークショップ①②の報告
17:20 総括
17:30 閉会
名刺交換
◆URC報告◆
ワールドカフェ形式のワークショップにて参加者が意見交換を行うための基礎情報として、「都市における外国人災害対策と災害時における外国人の脆弱性」についてURCより報告がありました。中村研究主査からの報告では、外国人が情報を取得する際のツールに関する国内の多様な事例を紹介しました。音情報、視覚情報(デジタル・アナログ)、多言語支援センター等の人を介した情報、それらを支えるシステム、という視点から事例の報告を行いました。菊澤研究主査からは、外国人が災害時に直面する課題や傾向についての報告を行いました。来訪者と在住者の別に加え、言語、前提条件、心理的不安、情報収集、生活文化の5つのカテゴリーに分類される課題を提示しました。さらに、災害時の情報発信の方法を検討するにあたり、考慮すべき福岡市の在住外国人の言語技能特性についての調査報告を行いました。報告はいずれも、日本語(ルビ付き)と英語で資料を提供し、多様な参加者が理解しやすいよう配慮しました。
◆ワークショップ◆
ラウンド①では、「多様なシーンにおける課題発掘」として、地震・停電等を想定し、「どこで、どんな外国人が、どんな課題に直面しているか」について参加者らが意見を交わしました。外国人が、何をしたら良いのか、どこへ行けば良いのかといった、周囲の状況も自分の取るべき行動も、色んな「わからない」状況が生まれるであろうとの意見が多数出ました。他にも複数意見として、情報収集をしようとする外国人のためのWi-Fiやスマホ等の充電への不安についての意見が挙がりました。さらに、旅行者であれば大きな荷物を抱えての移動が大変になること、宿泊施設や交通機関において個別の問い合わせが殺到するであろうことなどが挙げられました。
ラウンド②では、「助かる社会の環境づくり」として、ラウンド①で出された課題に対し、どのような解決策があるかについての議論がなされました。街のあちこちに平時からスマホの充電ポイントを設置し災害時には開放する、などの個々人が情報収集できる環境づくりについての意見が出されました。また、入国時や施設入館時に緊急時のポータルサイト等が記されたカードを配布するなどの事前の情報提供についての意見が複数出ました。GPSで避難場所に案内してくれる技術や情報の多言語化アプリ、さらには個々人の居場所や言語、ニーズなどに配慮したカスタマイズド情報が送られてくる仕組みなど技術的解決策についての提案がありました。ただ、最後には、人による支援として、日本人も多様性や共生についての認識を深め、避難時には周囲に声を掛けるなど、一人ひとりの配慮の大切さが強調されました。
◆全体を通して◆
今回、このテーマに関係するであろう多くの方々にお声がけし参加を呼び掛けた結果、予想以上の関心が示され、ワークショップを多様な“当事者”の交わる場とすることができました。本ワークショップの目的は、外国人が災害時に直面する課題と解決策の模索でしたが、第2の目的である関係者間のネットワークづくりにもアプローチできたのではないかと感じます。これを一過的なイベントとせず、継続した研究および関係づくりに発展させていけたらと思います。


“What makes a society where everyone can be saved
– Let’s talk about the challenges and the preparedness for foreigners! –“
URCでは、2019年度「防災」をテーマに総合研究に取り組んでいます。なかでも、福岡を訪れる外国人や市内の在住外国人が増加していることを踏まえ、災害時の外国人支援にフォーカスをあてています。
その一環として、URCの定期イベントであるナレッジコミュニティにて、防災ワークショップ「みんなが助かる社会とは “外国人の困りごとや備えについて考えよう”」を開催しました。
当日は、定員(30名)を上回る38名の方(うち13名が外国出身者)にご参加いただき、テーマへの関心の高さが伺えました。参加者は、福岡県・市内で活動する、国際・防災・観光関係の団体・事業者、メディア、学校等、外国人の災害支援に携わる多様な関係者ならびに留学生らで構成され、活発な議論が交わされました。
◆ワークショップ概要◆
【タイトル】 「みんなが助かる社会とは “外国人の困りごとや備えについて考えよう”」
【日時】2019年10月31日(木) 15:30~17:30
【会場】福岡アジア都市研究所 会議室
【主催】公益財団法人 福岡アジア都市研究所
【共催】福岡市
【定員】30 名
【プログラム】
15:30 URC常務理事挨拶
15:35 URC報告「都市における外国人災害対策と災害時における外国人の脆弱性」
・URC研究主査 中村 由美
・URC研究主査 菊澤 育代
16:00 ワークショップ進め方の説明
16:05 ワークショップ① 「多様なシーンにおける課題発掘」
16:35 ワークショップ② 「助かる社会の環境づくり」
17:05 ワークショップ①②の報告
17:20 総括
17:30 閉会
名刺交換
◆URC報告◆
ワールドカフェ形式のワークショップにて参加者が意見交換を行うための基礎情報として、「都市における外国人災害対策と災害時における外国人の脆弱性」についてURCより報告がありました。中村研究主査からの報告では、外国人が情報を取得する際のツールに関する国内の多様な事例を紹介しました。音情報、視覚情報(デジタル・アナログ)、多言語支援センター等の人を介した情報、それらを支えるシステム、という視点から事例の報告を行いました。菊澤研究主査からは、外国人が災害時に直面する課題や傾向についての報告を行いました。来訪者と在住者の別に加え、言語、前提条件、心理的不安、情報収集、生活文化の5つのカテゴリーに分類される課題を提示しました。さらに、災害時の情報発信の方法を検討するにあたり、考慮すべき福岡市の在住外国人の言語技能特性についての調査報告を行いました。報告はいずれも、日本語(ルビ付き)と英語で資料を提供し、多様な参加者が理解しやすいよう配慮しました。
◆ワークショップ◆
ラウンド①では、「多様なシーンにおける課題発掘」として、地震・停電等を想定し、「どこで、どんな外国人が、どんな課題に直面しているか」について参加者らが意見を交わしました。外国人が、何をしたら良いのか、どこへ行けば良いのかといった、周囲の状況も自分の取るべき行動も、色んな「わからない」状況が生まれるであろうとの意見が多数出ました。他にも複数意見として、情報収集をしようとする外国人のためのWi-Fiやスマホ等の充電への不安についての意見が挙がりました。さらに、旅行者であれば大きな荷物を抱えての移動が大変になること、宿泊施設や交通機関において個別の問い合わせが殺到するであろうことなどが挙げられました。
ラウンド②では、「助かる社会の環境づくり」として、ラウンド①で出された課題に対し、どのような解決策があるかについての議論がなされました。街のあちこちに平時からスマホの充電ポイントを設置し災害時には開放する、などの個々人が情報収集できる環境づくりについての意見が出されました。また、入国時や施設入館時に緊急時のポータルサイト等が記されたカードを配布するなどの事前の情報提供についての意見が複数出ました。GPSで避難場所に案内してくれる技術や情報の多言語化アプリ、さらには個々人の居場所や言語、ニーズなどに配慮したカスタマイズド情報が送られてくる仕組みなど技術的解決策についての提案がありました。ただ、最後には、人による支援として、日本人も多様性や共生についての認識を深め、避難時には周囲に声を掛けるなど、一人ひとりの配慮の大切さが強調されました。
◆全体を通して◆
今回、このテーマに関係するであろう多くの方々にお声がけし参加を呼び掛けた結果、予想以上の関心が示され、ワークショップを多様な“当事者”の交わる場とすることができました。本ワークショップの目的は、外国人が災害時に直面する課題と解決策の模索でしたが、第2の目的である関係者間のネットワークづくりにもアプローチできたのではないかと感じます。これを一過的なイベントとせず、継続した研究および関係づくりに発展させていけたらと思います。