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リレーコラム 10. バンクーバーから学ぶ

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[November 10, 2015] Fukuoka Growth 2015-2016 GlobalCityStatus リレーコラム   View this post in pdf pdficon_small (689KB)

10. バンクーバーから学ぶ
~世界で最も住みやすく、多様性の高い都市から~

✔海に近く、人、物の交流拠点として発展してきたバンクーバーと福岡
✔多様な人材が交流するFUKUOKAスタイルのグローバル都市デザインに期待
テキスト:総務課 足立麻理子
fggcs2015_10_data01バンクーバーは、日本人観光客や留学生に最も人気の高い都市のひとつです。2015年の観光客数(7月時点)は前年と比べると5.4%増え、その内日本人観光客数は、11.7%増えています(図表1)。雄大な大自然の魅力を残しつつ、都会の魅力もあわせ持つこの都市には、冬季オリンピックが開催された2010年よりもさらに多くの観光客が訪れています。このたびバンクーバーを訪問する機会があったので、福岡との類似性について考えてみました。


fggcs2015_10_photo03_tmbカナダで最も温暖なバンクーバーは、海と山に囲まれた自然豊かな街です。周辺都市を含めた都市圏人口は、約231万人で、福岡都市圏に近い人口規模です(図表2)fggcs2015_10_data02
バンクーバーは、太平洋に面し、80%を山岳部と森林が占めていることから、天然資源関連の水産業、林業、鉱物を基幹産業としてきましたが、近年は観光、デジタルメディア関連の産業を推進しています。バンクーバーは、クリエイティブ産業の成長拠点として世界的に認知されつつあり、有名な企業として「Hootsuite」「Flickr」 などのオンラインソーシャルメディア会社、「Electronic Arts」「East Side Games」などのゲーム制作会社などがあります。政府もデジタルメディア等の産業を対象とした優遇制度を設け、今もその数は増え続けています。デジタルメディア・クリエイティブ産業の雇用者数は約2万2,000人にのぼり、年間33億ドルの利益を生み出していると言われています。(参照:internetcom.jphttp://wishpondjp.blog.jp/archives/3559054.html

ノースバンクーバーから見えるダウンタウンの景色

ノースバンクーバーから見えるダウンタウンの景色

英誌「MONOCLE(モノクル)」の「世界で最も住みやすい都市」に、毎年高順位に選ばれるバンクーバー。路線バスや無人IT電車のスカイトレイン、シーバス(渡船)などの公共交通機関が整っており、都心部から空港へも電車で20分でアクセスできるコンパクトシティです。大陸横断鉄道(VIA)の西の終着地点であるバンクーバーは、カナダの太平洋へ向けたゲートウェイ都市として発展してきました。バンクーバー港は、博多港のように市内からの交通アクセスもよく、人、物、文化の入口としてバンクーバーの発展をささえてきました。現在は、カナダ最大かつ北米西海岸でも最大の港湾として機能しています。

コンベンション・センター

コンベンション・センター

ウォーターフロントには、バンクーバー開拓当時に製鉄所を中心として栄えた「ガスタウン」が、今でも歴史地区として保存されています。学術・エンターテインメント・デザインなど様々な分野での著名人が一堂に会する大規模な世界的会議「TED Conference(テド・カンファレンス)」やデジタルメディア技術・コンピュータグラフィックスの学会「SIGGRAPH(シーグラフ)」などの有名な会議が開催される、バンクーバーコンベンションセンターもここにあります。コンベンションセンターの隣には、客船が寄港できるので、船で到着してそのままコンベンションセンターに入館できるほど利便性に優れ、ターミナルの拡張、新規施設の追加などさらなるニーズに対応するため、官民が協力して整備を続けています。(参照:アジアの太平洋ゲートウェイ・輸送ルート整備計画「カナダの太平洋ゲートウェイ」紹介冊子(カナダ政府発行)(pdf/約3.68MB))。

また、福岡とバンクーバーはともにシアトル、バルセロナなど世界の類似する10都市が加盟するIRBC(国際地域ベンチマーク協議会:International Regions Benchmarking Consortium)に参加しています。ICCA(国際会議協会:the International Congress and Convention Association)によれば、バンクーバーの年間国際会議開催数は60と北米で一番多く、バンクーバーのMICE政策は、福岡にとって非常に参考になると思われます。

fggcs2015_10_data03カナダは治安が良く、生活水準も高く、そして多文化・多様性を受け入れる寛容さから、200を超える民族が居住しています。特に人口が集中している都市トロントやバンクーバーは、人種のモザイクと呼ばれ、民族的特色が融合されてしまうアメリカに対して、カナダではお互いが出身地域の文化を尊重し、それを保持したままモザイクの一片のように共存しながら国を形成していると言われています。多民族都市の象徴として、『「第3極」の都市』で紹介されているように、バンクーバーのレストランの人気料理上位5種類のうち、多国籍レストランが占める割合は24%です。しかし、その数を上回るのが、日本食レストラン数で26%となっています(図表3)。このようにバンクーバーの日本食人気は根強く、寿司はもちろんラーメン、うどん専門店も出店しています。残念ながらその多くは日本人以外の経営によるものですが、日本人の経営による店も増えてきたようです。また、本場福岡のとんこつラーメン(暖暮)もダウンタウンに出店するなどバンクーバーはラーメン激戦地となっています。福岡発祥の店が海外へ進出しているだけでなく、バンクーバーで起業している、長勝博氏(IT/WEBマーケティング、広告PRなどをサポートする会社を経営)やEtsu Inoue氏(画家・書家)らも活躍しています。

fggcs2015_10_photo01_tmb fggcs2015_10_photo02_tmb福岡は「袖の奏」と呼ばれ、バンクーバーと同様に、古くから人や文化の入口として発展してきました。また、Fukuoka Growth「09 クリエイティブによる産業の進化」で紹介されているように、福岡市は、クリエイティブ関連産業の事業所数や従業者数が多く、「妖怪ウォッチ」などのゲーム、「紙兎ロペ」などのアニメは、海外にも進出しています。今後もより多くの福岡ブランドが海外へ進出することができれば、海外のより多くの人や企業が福岡に注目し、ビジネスチャンスも拡大します。福岡では今後、ウォーターフロントの再整備やMICEの推進により、アジアの交流拠点として機能が高まることによって、海外からの多様な人材の交流が進むと思われます。多様な人材の活力による持続可能性を持ったバンクーバースタイルを折り合わせた、FUKUOKAスタイルのグローバル都市デザインが進むことを期待しています。

写真はいずれもイメージ(バンクーバーにて撮影)
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過去のコラム: http://urc.or.jp/category/research_publication/publication/fukuokagrowth-2015-2016-column
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