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Fukuoka Growth 14 投資と金融が集まる’フクオカ・シティ’の可能性

日本は、輸出額に占める付加価値額割合が、国際的にみて高い水準にある一方で、海外からの投資の受け入れについては、国際的にみて極めて低い状況です。このことは、国内で生み出される付加価値の大半を、国内のリソース(資金、人材等)でまかなっているということになります。一方で、国際的にみて、日本の企業の利益率は低く、外資系企業の生産性が国内企業よりも高い傾向にあることが指摘されています(通商白書2013) 。
グローバル経済において、対内投資が地域にもたらすメリットとして、資金や技術、ノウハウの移転などを通じて地域企業の生産性向上が図られ、企業利益率の改善が期待されるほか、雇用面でも、質的、量的な効果が期待されることは言うまでもありません。
また、事業や不動産に対する投資にかかる資金の調達が、過去には銀行など金融機関による融資や株式発行による「間接金融」が中心だったものが、買い余力のある海外投資家や企業などの投資資金を呼び込む「直接金融」の重要性が増しています。
こうした動きを踏まえ、国も、2011年から対日投資促進プログラム(内閣府)による投資受入促進のための取り組みを強化しており、今後の対内直接投資受入の拡大が期待されます。このように、現状においては対日投資が振るわない中、福岡市は、昨年、海外からの高額不動産投資が相次ぐなど、投資対象地域としての存在感を示しつつあります。国内では、東京と比較して物価が安い価地方都市に、投資対象を探す目が移り、地方都市の中では最も成長可能性のある都市として、福岡市の地域としての投資適格性が評価されたものと考えられます。
福岡市は、全国一の単身世帯比率、賃貸住宅世帯比率、マンション世帯比率で、それだけ投資対象となる居住用不動産物件が供給されやすい環境にあるといえます。このほか、生産年齢比率の高さで示される就業者の集積による価値創出や、商業・サービス業の集積によるオフィスビル、商業施設におけるテナント需要など、不動産投資先としてのさまざまな優位性を有しています。
今後は、不動産に限らず、福岡市に域外からどの程度の資金流入や企業等の進出がなされているか、データ収集等による実情の把握に努め、投資先としての優位性を強めるために注力すべき政策や課題を整理していく必要があります。また、投資と金融は切り離せない関係にありますが、福岡市は、九州の経済活動の中心として、地元金融機関等に多くの資金が集まる状況にあるほか、地域に根ざしたリート法人や民間の投資ファンド会社もあります。これら地域の資金と、海外の投資機関等の資金によって、さらに大きな事業開発や投資の可能性が広がります。投資家や金融専門家は、常に投資先の情報を欲しており、投資対象地域に関する情報へのニーズは高いものと考えられます。
福岡市は、スタートアップ都市づくりやMICEの振興に力を入れています。スタートアップには投資家が必要であり、MICEにおける国際見本市などは、国際的なビジネスや投資家のマッチング機会でもあります。 福岡市において、投資家が集いやすい環境の整備が求められているといえます。地域と域外の専門家及び地域企業、起業家等が日常的に交流することで、地域経済の活性化やグローバル化が大きく進むことが期待されます。

(2014年1月20日 情報戦略室 畠山 尚久)

図表1.福岡県と九州の預金額・貸出金額(2013年) 図表2.福岡市の銀行等預金額と貸出額推移
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※グラフはクリックで拡大できます。