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アブノーマルなノーマルからの脱却(畠山)

画像はイメージです

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国土交通省より令和2年度の都市鉄道の混雑率調査結果が公表されました。コロナ禍による緊急事態宣や外出自粛等に合わせて、鉄道各社が運行本数の調整などを行った結果となっています。
各社、利用者減などの影響を受け、混雑率が大幅に低下した路線(区間)が多くみられます。(表1
表1: 主要都市圏の混雑率上位区間(JR最大区間と地域最大区間)

福岡市関連では、都市圏西部から都心に向かう地下鉄空港線「大濠公園→赤坂」間が115%、南部から都心に向かうJR鹿児島本線「二日市→博多」区間が104%などとなっていますが、最も混雑率が高かったのは、北東部から都心に向かう西鉄貝塚線「名島→貝塚」間の129%です。この混雑率は、首都圏でも上位に入る水準です。もちろん、車両の編成数、運行本数などが異なるので、単純な比較はできませんが、乗車したときに感じる「密」度は、首都圏の激しい混雑路線と同等ということになります。西鉄貝塚線沿線の千早駅周辺などで、マンションが急激に増えて人口が増加したことも、高い混雑率の一因と考えられます。

令和2年度の混雑率を前年と比較すると、福岡市近郊含め2割前後低下したところが多いですが、首都圏は、軒並み4割前後低下していることがわかります。
東京23区ではテレワーク実施率が地方と比較して高い水準となっており(図1)、企業がコロナ禍に対応した働き方を導入したことで、ラッシュ時の混雑率が低下したとみられます。
一方、混雑率の低下が比較的軽微な福岡市などでは、テレワークが十分には広がっていない状況がうかがえます。
図1: 地域別テレワーク実施率

改めて、コロナ禍前、令和元年度の首都圏の混雑率上位区間をみると、180~190%台という異常(=アブノーマル)な混雑率が、当時の普通(=ノーマル)だったことが分かります。

コロナが収束したとき、またこの異常な混雑率が戻るのか、それともテレワークなどが定着して、ニュー・ノーマルな通勤風景に変わるのかはわかりません。
まずはコロナの終息を願いつつ、来たるべきニュー・ノーマルな社会が、異常の少ない社会に進化していることが大事なように思います。

情報戦略室 畠山 尚久
http://urc.or.jp/event/column-20210721