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花のある生活(山田)

【グラフ1】 福岡市の花き種類別生産量(2019年)
【グラフ2】 花き産出額と農業経営体数(2018年)
【グラフ3】 1経営体あたり産出額(2018年)

お洒落な少し年上の友人が花瓶をプレゼントしてくれました。「花は好きだけど、花束をもらった時に飾るくらいで長続きしない。まともな花瓶もないからグラスを花瓶代わりに使っていて、花束が大きい時は倒れそうになる」と、以前私が話していたのを覚えていたようで、少し大きめの美しい花瓶を選んでくれました。

念願の花瓶のある生活が始まったものの、肝心の花を入手できず、しばらく空の花瓶を眺める生活が続いていました。「花屋が開いている時間に花屋に寄れない」「週末の買い出しでスーパーに寄るけれど、入り口付近に陳列されている花には何となく惹かれない」…実行しない言い訳はいくらでも並べることができます。

そのような中、イギリスの手作り焼き菓子を提供する小さな喫茶店に別の友人と二人で行く機会がありました。レコード盤のクラシック音楽が流れるコンパクトな店内で、紅茶と珈琲をおかわりしながらカウンター越しに店のマスターと音楽や演劇や文学について談笑し、気づけば2時間も滞在していました。その帰り道にスーパーに寄ったところ、入口の花コーナーで足が止まりました。ビニールに包まれ数百円の値札が付いた菊の花がいつもよりも素敵に見え、ついに買って帰りました。喫茶店での情緒あふれる時間で気分が高揚していたのでしょうか、一歩踏み出せた気がしました。

福岡県の切り花類の出荷量は全国3位(農林水産省「令和元年度花き生産出荷統計」)で、福岡市西区の北崎・元岡では年間4百万本近いバラが生産されています(グラフ1)。福岡市の花き産出額は主要大都市の中でも最も多く(グラフ2)、農業経営体あたり産出額も最も高くなっています(グラフ3)。近所の花屋の軒先に「北崎」の文字が印字された配送用段ボールを見かけると、地元で生産されたお花をちゃんと購入できるのだと分かり、嬉しくなります。

福岡市は「一人一花運動」を行っています。公園、街の中、歩道の一角など、身近な花に触れる機会が増えていますが、家の中にも花があると、情緒あふれる時間を過ごすことができるのではないでしょうか。

花と花瓶と紅茶

情報戦略室 山田美里
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