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防災シミュレーションゲームを通じた意見交換の大切さ(山田)

いつ:
2020年1月8日 @ 09:00
2020-01-08T09:00:00+09:00
2020-01-08T09:15:00+09:00

写真:区画整理が完了した順に住宅街の通りに花の名が付けられ、パネルが設置されている。パネル中央部の赤い点は建設規制に関わる道路中心を示す。

発災からまもなく25年となる阪神淡路大震災で大きな被害を受けた兵庫県神戸市長田区野田北部地区を訪問した際(2019年度URC総合研究「防災」シリーズ02)、この地域のまちづくりに長年携わっている河合氏(野田北ふるさとネット事務局長・野田北部まちづくり協議会会長)から伺ったお話のなかで印象に残ったことのひとつに、災害後の状況を想像しながらプレイする防災ゲームによる意見交換の大切さがあります。

被災者は、発災直後から何年にも渡る復興期において、様々な選択を迫られます。自らの命を守るための行動に始まり、近隣住民の救出から避難所での過ごし方、さらには生活再建と市街地復興の両立実現にまで、個人だけでなく地域コミュニティの集団意向が意思決定に影響してきます。そして意思決定に関係する人が増えれば増えるほど、決定までに時間を要します。住宅が密集していた野田北部地区における市街地整備のための合意形成は、特に長い時間が必要であったことをうかがい知ることができました。

その野田北部地区のまちづくりに深く関わった河合氏が日頃からの備えとして大切だと話してくれたのが、「クロスロード」()という防災シミュレーションゲームでした。これは、複数人でプレイするゲームで、被災後のあらゆる場面における行動判断をYesかNoか選びその理由を説明し、その後全員でその問題について話し合うものです。

例えば、「避難所に1000人が避難しているが、弁当が500個しか届いていない。避難所の運営側であるあなたは、弁当を配布する(Yes)か?配布しない(No)か?」の問いに対し、YesかNoかを答えます。Yesであれば、高齢者や子どもから先に配布するという理由がでるかもしれませんし、Noであれば、もう500個入手してから配るという理由がでるかもしれません。どちらが正解かというものではなく、このゲームを通じて、多様な考えや視点を知ることができます。

災害が発生したらまず自分の命を守ることが大事であり、その理由は自分の命があれば他人の命を救うことができるかもしれないからという河合氏の話は印象的でした。それに加え、発災直後から始まる長い復興期に備えるために、「クロスロード」のようなツールを使ってコミュニティにおける意見交換の機会をもつことも大切だと教えていただきました。

※【引用】クロスロードとは、阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作成された、カードゲーム形式の防災教材。「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(文部科学省)の一環として、矢守克也氏(京都大学防災研究所准教授)、吉川肇子氏(慶應義塾大学商学部准教授)、網代剛氏(ゲームデザイナー)によって開発された。(出典:「内閣府防災情報のページ」http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h20/11/special_02_1.html

情報戦略室 山田美里
http://urc.or.jp/event/column-20200108
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