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終わりの始まり(唐)

いつ:
2019年12月25日 @ 09:00
2019-12-25T09:00:00+09:00
2019-12-25T09:15:00+09:00
①ホテル近くの光景、②会場となった大学キャンパス、③授賞式会場にあるLED電光スクリーンは圧巻

①ホテル近くの光景、②会場となった大学キャンパス、③授賞式会場にあるLED電光スクリーンは圧巻

11月22日~24日、今年のアジア都市景観賞授賞式参加のために香港に行ってきました。開催直前に現地の情勢が不安定となり、我々の香港行きも危ぶまれましたが、結果的に7か国150人以上が参加した盛会となりました。

授賞式会場は香港高等教育科技學院(Technological and Higher Education Institute of Hong Kong)柴灣キャンパスにありました。この大学の規模は大きくはありませんが、ツインタワーを擁するキャンパスはユニークで数々のデザインアワードも受賞しています。また、メイン会場の壁に備え付けられている幅20mもあるLED電光スクリーンには驚かされました。とりわけ印象に残ったのは、おしゃれな学内レストランでのビュッフェランチで、学食とは思えない美味しい洋風料理を次々と堪能できました。

 昼間の学園は、日差しが燦燦と降り注ぐなか、学生の姿を見ることもなく、静寂そのものでした。教室横の掲示板には政府批判やストライキを呼びかける張り紙が張ったままで、水死した女子学生を悼む折り紙の鶴たちが佇んでいました。中国大陸出身者への怒りをあらわにした壁新聞を横目に、警備員が出入りする者のチェックを厳しく行っていました。

香港情勢の混迷を象徴する場面は、式典の会場にもありました。背景ボートには5年前の「雨傘運動」を彷彿させるようなデザインが印されていて、そのデザインボートを背景に、香港政府の代表が景観賞主催団体に感謝の楯を贈呈していました。

 「改革・開放」が始まった40年前までの香港は、中国大陸と外の世界をつなぐショーウインド的な存在でした。テレサ・テンたちの甘い歌声に乗せられ、大陸の若者が香港に憧れ、外の世界に夢と希望を託しました。また世界からのヒト、モノ、資金も、ここ香港を経由して大陸になだれ込んでいました。しかし時が流れ、今の香港にはかつてのような眩しさは感じられません。

「東洋の真珠」と呼ばれていた香港にとって、2019年が「終わりの始まり」の年でないことを祈ります。

主任研究員 唐 寅
http://urc.or.jp/event/column-20191225
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