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「第3極」の都市plus3:01.福岡の成長をベンチマークする新しい視点

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ごあいさつ

当研究所は2014年度、福岡と類似性を有している、首都・経済首都でなくメガ・シティでもない5つの都市(シアトル・バンクーバー・メルボルン・ミュンヘン・バルセロナ)のグローバル競争力を福岡と比較し、その研究成果を『「第3極」の都市』として公表しました。

それから約2年、国境を超えたグローバリゼーションの波は、ますます高くなっており、日本でアジアへの最前線に位置する福岡へ影響はとくに顕著になってきました。博多港への外航クルーズ船の急増は、その影響の一端であるといえます。

plus3_01_figure01グローバルな力を大きく取り込んできた福岡の、グローバルなポジションは変わってきたのでしょうか。今年度は、情報戦略室の監修のもと、新しい視点も加えながら、『「第3極」の都市 plus 3』として、シリーズで更新していくことにしました。福岡をグローバルでダイナミックな観点から分析し、政策やビジネスのみならず、日々の生活へのヒントをご提供できればと考えています。

公益財団法人福岡アジア都市研究所
情報戦略室長 久保隆行




01.福岡の成長をベンチマークする新しい視点

「第3極」の都市とは?
世界には、さまざまな機関から「グローバル都市」として評価を受けている都市が存在し、FUKUOKAもその一員です。ここにリストアップしたおよそ100の「グローバル都市」には、首都・経済首都が大多数を占めます。これらの都市には国家の最大の投資がなされるため、競争力が高まることは当然といえます。また、首都・経済首都に該当しなくても、巨大都市であるがゆえに、集積の力によって「グローバル都市」としての存在感を高めている都市も多く存在します。
一方、これらに該当しない都市の中で、特化したグローバル都市機能に依存せず、さらに生活の質において高い評価を受ける「グローバル都市」が複数あります。FUKUOKAを含むこれらの都市を「第3極」の都市と位置づけ、相対的なグローバル評価を2014年度に行いました。

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2014年度のFUKUOKAの総合評価
「第3極」の都市には、IRBC(国際地域ベンチマーク協議会)に所属する首都ではない6都市が福岡とともに含まれています。これらの6都市について「生活の質」と「都市の成長」の2つの軸を設定し、これらを構成する指標をスコア評価しました。福岡は、「生活の質」において他都市と同等の水準であることがわかりました。
しかし、「都市の成長」においては、他都市と大きな格差があることが明らかになりました。「都市の成長」を構成する指標スコアが全般的に低いことから、これらを相互に持続的に向上させるための、長期的かつ戦略的な取り組みの必要性が浮かび上がりました。
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四半世紀の未来を見据えたFUKUOKAの発展戦略とは?
当研究所では、グローバルなベンチマーキングから明らかになった、福岡の「生活の質」の強みと「都市の成長」の弱みを踏まえ、「シナリオ・プランニング」のフレームワークを応用し、25年先を見据えた福岡の持続的な発展戦略の検討を進め、『発展する都市/衰退する都市』として公表しました。
世界の中で福岡を取り巻くさまざまな情勢を分析した結果、未来への発展あるいは衰退を方向付けるキー・ドライビング・フォース:KDFとして、「グローバル化への対応」と「イノベーションの実装」が浮かび上がりました。KDFに応じて、私たち自身を含む都市全体が変革していくことができれば、グローバル競争力のより高い都市へと発展するシナリオの実現は可能です。しかし、現状に甘んじて変革を拒み続けた場合、徐々に衰退するシナリオが待ち受けています。
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グローバルな力の取り込みとイノベーション創出がキーとなる
「発展する都市」を実現するためには、福岡の経済成長は欠かせません。福岡の現在の人口増加ペースを維持しながら、生産性と労働参加率を高めた場合、年率約1.4%での持続的な経済成長を達成することが可能であると試算できました。
そのためには、グローバルな知見や労働力、消費力などの取り込みに加え、創造性の高い産業クラスターの形成や、イノベーション・エコシステムの構築が必至となります。
日本では寛容性の高い都市として知られる福岡では、域外からの移住者が増加し、ダイバーシティが高まりつつあります。さらに、「グローバル創業・雇用創出特区」によって、イノベーティブな都市づくりが進められています。
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グローバル化とイノベーション創出で先行する「第3極」の5都市
2014年度の調査結果をもとに、福岡とベンチマーク5都市の指標のなかから、グローバル化とイノベーションにかかわる指標のみを合成して比較を行いました。グローバル化については、評価項目のなかから「4-E. 海外人材の割合」と「4-H. 国際空港機能」を、イノベーションについては、「4-A. 特許申請件数の多さ」と「4-B. スタートアップの多さ」を構成する指標を抽出しています(各指標データはレポートをご覧ください)。
その結果、グローバル化とイノベーションの各項目において、いずれの都市も福岡よりもスコアが高いことが明らかになりました。また、グローバル化とイノベーションにかかわる指標スコアの高さは、経済力にかかわる指標スコア(「3-H. 企業の売上規模」、「3-I. 経済力の強さ」の合成)の高さとも相関関係にあります。

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「第3極」の都市への新たな視点
首都・経済首都ではなく、メガ・シティでもなく、生活の質の高い、コンパクトな「第3極」の都市の成長力は、グローバル化とイノベーションによってもたらされている可能性が高いと考えられます。国境を超えた都市と都市とのグローバルなつながりは、グローバルな市場形成を意味し、人材供給やインバウンドの循環をもたらします。グローバルに交流するヒトや情報は、イノベーションを促進すると考えられます。これらは、都市の人口規模が小さいにもかかわらず、大きく成長できる要因なのです。
このような観点から、今回の更新においては、国家全体の人口規模がメガ・ティよりも小さいながらも、強い経済力を備え、かつ生活の質の評価も高い都市をもベンチマークします。都市の一次的な後背地を国家と考えた場合、国家の人口規模が小さな都市は、経済成長のためにはグローバルなコネクションを強化せざるを得ないためです。また、小さな国は労働力人口も限られているため、付加価値の高い製品やサービスを生み出さなければ、高いGDPを生み出すことはできません。その原動力は、イノベーションにほかなりません。
今回の更新ではさらに、アジアでの福岡のポジションを把握するために、アジア先進国からもベンチマーク都市を追加することにします。
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テキスト:情報戦略室長 久保隆行

 

バックナンバー: http://urc.or.jp/category/research_publication/publication/cities-on-the-third-axis-plus3