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「第3極」の都市 2018:01.「生活の質」と「都市の成長」を両立させる都市

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ごあいさつ

当研究所は2014年度、福岡と類似性を有している、首都・経済首都でなくメガ・シティでもない5つの都市、シアトル、バンクーバー、メルボルン、ミュンヘン、バルセロナのグローバル競争力を福岡と比較し、その研究成果を『「第3極」の都市』として公表しました。

      

2016年度には、福岡と同じくIRBC(国際地域ベンチマーク協議会 ※)に所属するストックホルム、ヘルシンキおよび玄界灘を介した福岡の姉妹都市、釜山を加えた8都市を福岡とともに評価した『「第3極」の都市plus 3』を発行しました。

本調査の5年目となる2018年度は、福岡、シアトル、バンクーバー、メルボルン、ミュンヘン、バルセロナ、ストックホルム、ヘルシンキ、釜山の9都市を改めて『「第3極」の都市』と規定し、各都市の比較をもとに福岡のグローバルなポジションの推移を追っていきます。

福岡市は、2014年の国家戦略特区指定以降、「グローバル創業都市」を目指した改革に取り組んできました。5年間の取り組み成果を総括するうえでも、本調査がさまざまなステークホルダーの皆さまのお役に立つことを祈念しています。

※2008年ー2018年6月、シアトルを本部として活動

公益財団法人福岡アジア都市研究所
フェロー 久保隆行(立命館アジア太平洋大学准教授)




01.「生活の質」と「都市の成長」を両立させる都市

「第3極」の都市とは?
世界には多くの「グローバル都市」が存在します。これら「グローバル都市」の多くは、ロンドンや東京のような主要国家の首都、ニューヨークやトロントのような経済的な首都、上海やムンバイのような世界有数の巨大都市です。これら都市には、世界から多くの投資が集まり、人口集中および都市機能の集積が進むため、グローバルな競争力は高まります。
一方、人口が過度に集中することなく、コンパクトな都市構造を維持しながら、「生活の質」において高い評価を受ける「グローバル都市」が世界に複数存在します。
当研究所は、福岡を含むこれらの都市を、「第3極」の都市と規定し、これまで調査を進めてまいりました。

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2016年度の福岡の総合評価
本調査では、「生活の質」と「都市の成長」の2つの評価軸を設定し、それぞれの評価軸に応じた指標にもとづいて、9都市の相対的なポジションをスコアによって示しています。9都市のなかでの福岡のポジションは、2016年度において図のように位置付けられました。「生活の質」においては、福岡はバルセロナを除く他都市と同等の水準にあるといえます。その一方で、「都市の成長」において福岡は9都市中最も低いスコアとなり、他都市との格差が浮き彫りとなりました。
福岡の当面の課題は、「生活の質」を維持しながら、「都市の成長」にかかわる指標値を持続的に向上させることだといえます。

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MONOCLE「世界で最も住みやすい都市ランキング」福岡の順位推移
福岡の「生活の質」のグローバルな評価を他機関の観点から改めてみてみましょう。
英国MONOCLE誌は、世界の都市の「生活の質」を評価しランク付けする「世界で最も住みやすい都市ランキング」を毎年公表しています。ここでは、福岡の2010年から2018年にかけての順位を追ってみました。図にあるように、福岡の順位は2016年にかけて上昇し、以降急速に下落しています。
2016年には世界7位まで上り詰めた福岡に何が生じたのでしょうか?福岡は近年、「生活の質」を維持できていないのでしょうか?

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2018年MONOCLE「生活の質」評価のポイント
福岡の「生活の質」の近年の急速な下落は、MONOCLEによる「生活の質」の評価手法の変更にあるようです。
MONOCLE(No.115)によれば、「生活の質」を評価する合計60以上からなる指標について、今年は新たに「都市の変化」にかかわる評価項目を追加したとのことです。たとえば、その都市は増加する人口に対してどのように公共交通サービスを充実させているか?新しく移ってきた住民や観光客が満足できるサービスを提供できているか?といった項目です。
このような観点から、福岡については、「上海・台北・香港から至近距離にある日本の完璧なハブとして位置付けられているものの、在留許可や法人設立においては首都である東京に依存しているため、必ずしも迅速な対応ができていない(p.28)」と厳しめの指摘がなされています。さらに、「福岡はクルーズ船やエアラインによる観光客の記録的な受け入れには成功しているものの、市民や企業のニーズには対応しきれていない(p.73)」と批評されています。

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「都市の成長」が「生活の質」を牽引
当研究所においても、2016年度『「第3極」の都市plus 3』において、「2014年以降、福岡のインバウンドにかかわる指標の多くが大幅に伸長し、都市の成長に一定の寄与を示したものの、今後の課題は、企業や人材のグローバルな展開力を示すアウトバウンド指標の上昇にある(p.102)」と指摘しています。福岡に居住する人材や企業のグローバルな競争力を高めると同時に、域外から福岡での起業をさらに促進することが求められます。
図は、MONOCLE「2018年世界で最も住みやすい都市ランキング」に掲載されている各都市の順位と「豊かさ」を示す一人当たりGDPを散布図に表示したものです。順位の高さと一人当たりGDP(豊かさ)には直接的な相関性は見られませんが、何れの都市も福岡よりも豊かであることがうかがえます。
より働きやすく、成果の出しやすい都市づくりによって「都市の成長」を促進することは、「生活の質」をも向上させていくに違いないでしょう。

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「生活の質」と「都市の成長」の両立を目指して
当研究所では、2018年度『「第3極」の都市』を、これまでと同様に「生活の質」と「都市の成長」の2つの評価軸に分けて、福岡を含む9都市の評価を行います。
福岡市基本構想に示されているように、福岡はアジアの交流拠点都市としてすでにMONOCLEのようなグローバルな誌面から認知されています。福岡はこの2年間、アジアの交流拠点都市にふさわしい「都市の成長」を遂げてきているのか?それと同時に、世界有数の住みやすい都市としての「生活の質」を維持できているのか?
当研究所のアップデートをどうかご期待ください。

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