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福岡市における企業・事業所のWLBへの取り組み実態と政策課題に関する研究(1)

研究趣旨

これは、(財)福岡アジア都市研究所の2009年度予備調査として、福岡市こども未来局こども部総務企画課との共同で実施した調査研究の成果である。
2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が発表され、さらに2010年の「次世代育成支援対策法」の改定に向けた国における取組もあって、近年、企業や地方自治体でのワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取組が目立つようになってきている。当研究所でも、福岡市が「価値創造都市」を目指す上では、市民の創造性を高める、または創造性の高い市民を育てることが必要であるが、そのためには市民の「働き方(生活の仕方)」がより効率的かつ自由度の高いものになるよう市民社会の質的向上が必要であり、そのためには福岡市がWLBの先進都市となることは欠くことができない政策課題であるとの認識から、福岡市企業のWLBへの取組実態とWLBの基本的な考え方などに関する調査・研究を実施することとした。

研究結果

① 2008年度に福岡市こども未来局こども部総務企画課が実施した「『仕事と生活の調和』取り組みに関する企業ヒアリング分析業務委託」のデータを改めて集計・分析することで、福岡市企業のWLBへの取組実態を把握したものである。結果は、「育児休業」の場合、全体として、「就業規則に定めており、運用実績もある」事業所は19.5%、「就業規則に規定がある」事業所は44.0%、(就業規則の規定はないが)「運用上の取扱いをしている」事業所が8.5%、「就業規則の規定がなく、運用実績もない」事業所が28.0%であった。ただし、従業者規模の大きな事業所では、育児休業規定、育児期の勤務時間短縮措置などを就業規則上の規定、運用実績も多いものの、小規模事業者では、法的対象外であることもあって取組が進んでいないことが明らかになった。また、WLB取組による影響(効果)については、平均して、「人材確保・活用の改善」効果が最も高く(54.3%)、次いで「企業イメージの向上」(28.7%)であり、さらに「職場環境の改善」効果(25.4%)などであった(調査対象企業数に対する割合)。
② 前年度に個人研究の一環として行った就学前児童をもつ女性従業者の生活・仕事両立の実態と意識に関するインタビュー調査結果の一部をまとめたものである。夫の協力姿勢が不十分で、妻の負担になっていることに関して「不満」としていることが判った。
③ WLBをどのように考え、かつ、どのような意味を持つのかを考察するとともに、福岡市の就業者構成の特徴等を踏まえ、中間的な政策提言を行った。市政におけるWLB促進政策の位置づけを高める必要があること、および、WLBの推進は、企業人事上での「ダイバシティ(多様性)」を高め、創造性向上につながる大きなメリットがあること。問題は、「仕事」部分の効率的な遂行を確保することであり、人事・業務のマネージメントの改革を含めて企業が推進できるよう誘導・支援することが重要であることなどを提案している。

研究期間

平成 21年 4月~平成 22年3月

担当

岩屋 京子     研究主査  ※研究責任者

岡田 允     特別研究員

田梅 朋子     研究主査

研究報告書

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