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福岡市におけるアジビネス支援政策関する研究 (平成27・28年度 個別研究)

背景

個別研究は、当研究所が定めたテーマを各研究員が一致協力して実施する総合研究とは異なり、各研究員が定めたテーマを、総合研究に向けた事前の予備的研究として、あるいは、総合研究のフォローアップ研究などとして主体的に実施するものである。
 本個別研究「福岡市におけるアジアビジネス支援政策に関する研究」は、平成27~28年度にわたる成果を取りまとめたものである。

内容

 平成27年度発行の「福岡市におけるアジアビジネス支援政策に関する研究(上)報告書」分を第1章~第3章として取り込み、2年分を揃えて1つの報告書とした。
研究成果の概要は、以下の通りである。
1.20年以上にわたるわが国の名目GDP成長率の低迷の主因は、外圧により逆貿易志向的直接投資(anti-trade-oriented FDI)の形で推進された、産業連関影響度係数(生産波及効果)が抜群に大きい製造業の海外投資によって生じた「空洞化」にあり、地域経済にとっては製造業を中心とする域内産業連関関係の維持が重要である。
2.東洋経済「2015年海外進出企業総覧(企業編)」等のデータを基に、わが国の地域構成、都市システムと企業の海外進出実績との関係を見ると、わが国の海外進出(現地法人設立)の89.7%が3大都市圏(本社)企業であるのに対して、地方中枢都市福岡市を含む福岡県内(本社)企業の海外進出は、わずかに0.7%(215社)に過ぎず、海外ビジネスの「経験知」およびそれを持った人材等が圧倒的に少ないことが推測される。
3.東・東南アジア地域の工業化と経済成長によって、「東アジア先進国群」が形成されるとともにとともに、アセアン経済共同体が発足し、東・東南アジアの経済構造が新しい段階に入りつつあるとともに、ICT(情報通信技術)の急速な普及などによって国際的な「取引費用」が軽減されつつあり、これまで海外ビジネスに取り組めなかった地場企業にも可能性が開かれつつある。このことは、「新々貿易理論」によって理論的にも解明されている。
4.福岡市内企業3,000社を対象とした「福岡市内企業の海外ビジネスに対する意向および取組実態に関するアンケート調査」の結果(795社、有効回答率26.5%)においても、海外市場への展開について「既に対応している」が6.0%に過ぎないのに対して、「将来、当社も取り組んでいく(いきたい)」は、14.5%となっており、両者を合わせると20.5%(163社)に達している。
5.海外市場への展開にネガティブな企業の64.9%は、「商品やサービスが国内向けで、海外展開できない」が、それ以外の企業(182社)では、「海外でビジネスする企業体力(余裕人材)がない」(48.4%)、「リスクが大きすぎる」(31.3%)や「海外ビジネスの知識、外国語能力がなく無理」(22.5%)等の回答が多い。
6.以上のような経緯や実態および福岡市の位置と個性(第6章)を踏まえ、第7章において福岡市における海外(アジア)ビジネス支援政策のあり方を提案した。

 この研究が、福岡市をはじめ関係機関の政策推進に些少ともお役にたてれば幸いである。
また、調査の過程で訪問インタビューに応じていただいた企業・機関の皆様、およびアンケート調査に回答を寄せられた企業の皆様に心よりお礼を申し上げたい。

平成29年3月
公益財団法人 福岡アジア都市研究所 特別研究員 岡田 允

研究報告書
平成27~28年度 福岡市におけるアジビネス支援政策関する研究  (pdf/3.6MB)

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